長尾和宏 ◆往診シリーズ (その28) 死の壁の真っただ中で悶える患者さんに しょうがないので、腕枕で添い寝をしました。 しかし、深夜に激しい痛みが出て眠れなくなりました。 レスキューの麻薬を全部使い切ったことに気がつきました。 がんの激しい痛みは、麻薬でないととても収まりません。 しかし、日曜日の深夜は、日本中の薬局が閉まっています。 院外処方は、こういう時に不便です。 以前は院内処方でしたから、深夜でも麻薬を調達できました。 しかし、院外処方では、どうすることもできません。 「在宅医療は24時間365日って言ったって、口だけだな。 真夜中に麻薬ひとつ調達することすらできないんだから」 研修医君に呟いたつもりが、既に帰ったあとでした。 独語を吐いている自分自身が、情けなくなりました。 結局どうしようか、と思案にくれました。 そういえば、夜中もやっている薬剤師さんを思い出し
私は医師であると同時に薬剤師である。管理薬剤師を3年ばかりやっていたこともある。 ここで述べることは、業界内の人間にとっては、ほとんど常識とも言うべき事柄であるが、マスコミやWebに流れることはない。業界にとって不利な事柄だからである。(テレビ業界にとっての電波利権のようなものだ) 50年前の医薬品は不均一で不安定だった。品質や有効性や真贋を見分ける必要があった。また、薬は、製薬会社から供給される形態のままで患者に使うことができず、エキスを抽出したり、増量剤を混ぜて分包したり、打錠機で錠剤としたり、カプセルに詰めたり、ワセリンに混ぜて軟膏にしたり、溶かして水剤とする必要があった。輸液も、製品の種類が少なく、めんどうな調製を必要とした。そのためには、専門技術者が必要だった。 宮崎駿監督作品「魔女の宅急便」の冒頭で、キキのお母さんがやっている仕事が、かつての薬剤師の仕事だった。薬局は単なる小売
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く