先日、フィリップ・ショートの『ポル・ポト―ある悪夢の歴史』(白水社)について書いたが、その位置づけはやや訂正されるべきかもしれない。 訳者の山形浩生さんは「本書は…これまでいくつかでているポル・ポトの評伝やクメール・ルージュ史に関する各種文献の追随を許さないものとなっている」と、訳者あとがきで書いている。 しかし、本当にそうなのだろうか? 興味を持って調べてみると、原著に対する書評を見つけることができた。 書評を書いたのは歴史学教授のベン・キアナン(Ben Kiernan)。イェール大学ジェノサイド研究プログラム(→http://www.yale.edu/cgp/japanese/index.html)のディレクターで、カンボジア現代史研究を代表する一人である。 ベン・キアナン氏の主な著書には『血と土―スパルタからダルフールに至るジェノサイドと皆殺しの世界史』(2007年)、『ポル・ポトは