2011年10月発行 土橋 均 先生 大阪医科大学 予防・社会医学講座 法医学教室 准教授 (ご所属・役職は2011年10月発行時) ■学生時代,前職の大阪府警科学捜査研究所,現職の大阪医科大学法医学教室で,主に薬毒物分析に携わりながら様々な分析機器を使用してきた。この40年ほどの分析業務の中では,分析装置や分析法などについて,多くの先生,先輩,メーカーの技術者などから種々の知識やアドバイスをいただくことができた。また自分自身でも,分析のやり方のコツのようなものが身に付いてくる。そのような知識や知恵は,折に触れ,後輩たちに伝えてきたのであるが,この機会に「心得」としてまとめてみたので気楽に読んでいただければと思う。 ●「まず,装置の前に座れ」 機器分析で最も重要なことは,装置を熟知すること。参考書や解説書を読んで知識や理論を身につけることも大切だが,それよりも装置の前に座って実際に作動させ