1.はじめに 誘導結合プラズマ質量分析法 (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry, 以下、ICP-MS)は、アルゴン(Ar)ガスに高周波電力を印加して生成した誘導結合プラズマ (Inductively Coupled Plasma, 以下、ICP) をイオン源に用い、ICP に液体試料を霧状にして導入させ、プラズマによってイオン化された試料中の元素を質量分析計 (MS) によって分離、検出する元素分析のための手法である。 アルゴン(Ar)プラズマは 6000~10000 K の高温とされ、プラズマ中では多くの元素が高い効率でイオン化される。原子(実際に検出されるのはイオン)のもつ質量数は元素固有であるから、得られた質量スペクトルの質量数(正確には質量電荷数比 m/z)から元素の種類が分かり(定性分析)、元素濃度に比例して得られた信号強度か