祝・復刊!佐藤亜紀『ミノタウロス』 ミノタウロス (角川文庫) 作者:佐藤 亜紀 KADOKAWA Amazon 長らく品切れ状態だった佐藤亜紀『ミノタウロス』が、角川文庫から復刊された。めでたい。『スウィングしなけりゃ意味がない』が出て以来、入手困難だった佐藤亜紀の本がどんどんKADOKAWAから復刊されているのでありがたい限りである。どんどん読まれてほしい。 この小説は雑誌「本の雑誌」による2007年に出た本のベスト1に選出され、また第29回吉川英治文学新人賞受賞も受賞している。私が読んだのは話題になってからずいぶん後、講談社文庫版が出た頃だったと思う。 20世紀初頭のウクライナ、内戦サバイバル小説 物語の舞台はロシアの帝政が崩壊した直後のウクライナ。主人公は地主の息子ヴァシリ。地主の息子なので要するに田舎のボンボンという感じなのだが、このボンボンが内戦のただ中に放り出され、手段を問わ