企業のIT化について,最近疑問に思っていることがある。 「ITは経営の質向上に活用されるべきである」と,まるでIT化による業務効率化は既に終わってしまったかのごとく,まことしやかに語られている。本当にそうだろうか。筆者には,どうも実態とかけ離れている気がしてならない。小企業はもちろん,中堅企業や大企業においても,効率化を終えて次の段階に進むべき状況にあるようにはとても思えない。実態や生産性の統計などを分析し,ハッキリさせておく必要がある。そうしないと,企業IT化の道を誤る。 しばらくの間,業務効率化をはじめとするITが企業に与える影響について,具体的な事例や統計資料などを引用しながら,マクロ的な視点から考えてみることにする。 中小企業の業務効率化はまだまだ不十分 年商10億円ほどの情報システムの工事業者A社は,仲間から評判を聞きつけてきたトップの意向でグループウエアを導入した。導入後は社内