ブックマーク / econ101.jp (37)

  • ジョセフ・ヒース「学問としてのマルクス主義はなぜ凋落したのか」(2024年9月15日)

    先日投稿した「ジョン・ロールズと西洋マルクス主義の死」(原文はここ、邦訳はここで読める)という記事が、このブログ(In Due Course – substak)に投稿してきたこれまでのどのエントリより数倍も多くの読者に読まれた。私はこの事実を突き付けられ、最近の人が何を読みたがっているのかについて、自分が根的に何も分かっていないことを認めざるを得なくなった。これほどたくさん読まれると分かっていたら、このエントリはもうちょっと違った形で、カジュアルさを落として書いていただろう。 具体的に言うと、先のエントリは、私の人生の一時期に政治哲学の分野で起こった1つの論争を説明しようとしただけだった。西洋マルクス主義の運命について全般的な説明を行おうとしていたわけではなかったのだ。そこで私が述べたのはある意味で、(少なくとも哲学者の間における)マルクス主義理論へのとどめの一撃である。だが、マルクス

  • リ・ガンクック「岸田文雄の『新しい資本主義』について」(2024年6月6日)

    2021年9月、岸田文雄は「新しい資主義」という野心的な綱領を掲げて首相に選出された。岸田は、自民党の党首として、経済成長と所得分配の好循環をもたらす新規で、より良い経済システムの実現を約束してみせた。日政府はこの「新しい資主義」を推進するための計画をいくつか提示したが、日国民は依然として現在の実体経済に不満を抱いている。日の株式市場は急騰し、日経平均は一時的に約34年前のバブル期の水準を超えたが、2023年半ば以降の経済成長は停滞している。岸田政権の支持率は着実に低下しており、2022年当初には50%を超えていたが、2024年2月には25%にまで低下した。 革新的な経済運営を約束したのは、岸田政権が初めてではない。2013年、安倍晋三は、拡張的な金融政策によって日経済を復活させることを約束した。しかし、アベノミクスや、現在の岸田プランにも関わらず、賃金の伸びは停滞したままだ。

    リ・ガンクック「岸田文雄の『新しい資本主義』について」(2024年6月6日)
    yukky2000
    yukky2000 2024/06/08
    労組いじめがまさか長期の経済停滞を招く元になるなんて始めた当時は誰も予想してなかったろうなぁ 官製春闘もあまり機能してないみたいだし先は暗いな
  • ノア・スミス「ソロー・モデルが中国について教えてくれること」(2023年12月23日)

    今週、経済学者のロバート・ソローが99歳で亡くなった。彼はこの分野における巨人であり、彼によってマクロ経済学は無数の方法で再構築され、それを今の僕たちは当たり前のように受け入れている。ソローは多くの重要な分野に携わったんだけど、一番有名な貢献(ノーベル賞の受賞)は、経済成長についてのソロー・モデルだ。なので今回のエントリでは彼を追悼して、ソロー・モデルは、この数十年間――特に中国経済で起こったことを説明するのにどう役立つかについて少し話してみようと思う。 経済はなぜ成長し、成長はなぜ止まるか? この問題は、経済学で一番重要な問題なんじゃないかな。そして、ものすごく難しい問題でもある。成長というのはすごく複雑で、国によって経験は異なっている。比較は当に難しい。ソロー・モデルは、ものすごくシンプルで、頭の良い中学生なら学ぶことができる。少しだけの変数・パラメーターしかない。こうした単純なモデ

    ノア・スミス「ソロー・モデルが中国について教えてくれること」(2023年12月23日)
  • アダム・トゥーズ「ドイツの財政健全化への執着は、有権者を極右の支持に追いやっている。近年のドイツの成功とされているものについて」(2023年10月9日)

    民主主義国家が、こうした緊急、明白、十分に理にかなった要求に応えず、ナンセンスな財政健全化の原理を優先するなら、正当性を喪失してしまうのも不思議ではない。国家による自殺行為だ。 ドイツの政権与党SPD(ドイツ社会民主党)は、バイエルン州とヘッセン州の地方選挙で大敗した。この大敗は、今のドイツを覆っている雰囲気を示している。ドイツの各地域には固有の問題があるが、ヘッセン州とバイエルン州は、ドイツ連邦のジグソーパズルにおいて重要なピースであり、この2つの州で現首相のシュルツが率いる〔中道左派政党〕SPD(ドイツ社会民主党)は、〔極右政党〕AfD(ドイツための選択肢)の後塵を拝し、メンツが丸潰れとなった。 SPDは、ヘッセン州での健闘を見込んでいたのだが、AfDの18.4%に対して、15.1%という惨憺たる結果だった。金融の中心地フランクフルトを含むヘッセン州は、極右政治の長い伝統があるが、今回

    アダム・トゥーズ「ドイツの財政健全化への執着は、有権者を極右の支持に追いやっている。近年のドイツの成功とされているものについて」(2023年10月9日)
  • アレックス・タバロック 「国家間の収束がグングンと進行中 ~貧しい国々による懸命な追い上げ~」(2018年10月17日)

    ラント・プリチェット(Lant Pritchett)が1997年に執筆した「国家間の分岐がグングンと進行中」(“Divergence, Big Time”)と題された論文は、学界に大きなインパクトを与えた。プリチェットは、この論文で以下のような推計結果を明らかにしている。 ・・・(略)・・・最も豊かな国の1人当たり所得を分子にとり、最貧国(最も貧しい国)の1人当たり所得を分母にとった比率の値は、1870年から1990年までの間におよそ5倍の大きさになっている――最も豊かな国の1人当たり所得の水準は、1870年の時点では最貧国の1人当たり所得の水準のおよそ9倍の高さだったが、1990年の時点ではおよそ45倍の高さになっている――。最も豊かな国の1人当たり所得の水準と「発展途上諸国」の1人当たり所得の水準の平均値の差は、1870年から1990年までの間に桁(けた)が一つ違う大きさにまで膨れ上が

    アレックス・タバロック 「国家間の収束がグングンと進行中 ~貧しい国々による懸命な追い上げ~」(2018年10月17日)
  • ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日)

    ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日) カナダのジャーナリストが陥りがちな怠惰な習慣の一つが、カナダとアメリカが同じ国であるかのように語ってしまうことだ。アメリカで何が悪いことが起こっていると、カナダでも同じことが起こっていると彼らは思い込んでしまうことからも明らかで、この思い込み故に彼らは実際の取材に赴かない。 大学が最近「ポリティカル・コレクトネス」に席巻されているのを懸念する件でもこれを観察することができる。アメリカで、大学教授達がトラウマを負っている話が多く報じられ、なぜ学生を怖がるようになってしまったのかが解説されている。また、アドミニストレーター〔アメリカの大学の学生課の職員〕は、デリケートさを募らせている学生を不快にするのを恐れるあまり、学生に隷属してしまっていたり、傍観を

    ジョセフ・ヒース「なぜカナダの大学教授は学生を恐れないのか:アメリカの大学がポリティカル・コレクトネスに席巻された理由」(2015年6月8日)
  • ノエル・ジョンソン&マーク・コヤマ「近代国家と経済成長にはどんな関係があるのか:国家行使能力(State Capacity)に関する経済史研究のサーヴェイ」(2017年4月1日)

    近年の政治経済学と開発経済学における研究は揃って、経済成長を実現させた国とさせられなかった国を分かつ要因を説明する上で、「国家行使能力」(state capacity)の重要性を強調している。 アブストラクト 「国家行使能力」(State capacity)は、開発経済学政治経済学で最も議論される概念の1つとなってきている。このサーヴェイでは、近代国家が行使能力を獲得するプロセスについて、経済史研究が重要な洞察を提供していると論じる。ヨーロッパとアジアの様々な国における国家建設のプロセスを検討することで、国家行使能力と経済成長の関係を「解きほぐす」(decompress)ことができる。稿での分析は、国家建設プロセスが多様な性質を持っていることを強調する。また稿では、国家行使能力と経済成長を関係づけるメカニズムの解明にとって手助けとなる近年の研究に焦点を当てる。 [1] … Conti

    ノエル・ジョンソン&マーク・コヤマ「近代国家と経済成長にはどんな関係があるのか:国家行使能力(State Capacity)に関する経済史研究のサーヴェイ」(2017年4月1日)
  • タイラー・コーエン 「『進歩』の担い手としての巨大企業」(2019年5月4日)

    ワシントン・ポスト紙に掲載されたばかりの拙稿――拙著の『Big Business:A Love Letter to an American Anti-Hero』(邦訳『BIG BUSINESS:巨大企業はなぜ嫌われるのか』)からの抜粋――の一部を引用しておこう。 しかし、である。アメリカ歴史を振り返ると、巨大企業が『進歩』を後押しする強力な原動力の役割を担った例が多いことに気付かされる。世の人々に働く場を提供するというかたちを通じてだけではない。巨大企業は、差別や抑圧に苦しむ人々に手を差し伸べる一連の慣行なり、規範なりの定着に一役買ってもいるのだ。 例えば、同性婚は合憲であるとの判決が連邦最高裁判所によって下されたのは2015年のことだが、マクドナルドやGE(ゼネラル・エレクトリック)、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)、巨大IT企業の多くは、それよりもずっと前の段階から、異性間の

    タイラー・コーエン 「『進歩』の担い手としての巨大企業」(2019年5月4日)
  • タイラー・コーエン「オンライン広告が2社寡占ってほんと?」

    オンライン広告業界の2社寡占を問題視する人たちがいたのを覚えているだろうか。たいていの場合そうした声を上げていたのはオンライン広告が大嫌いな人たち(つまりはオンライン広告の価格がもっと上がってほしいと考えていたに違いない人たちだよね?)だったのはおかしな話だったね [1] … Continue reading 。以下はFinancial Timesによるオンライン広告分野の最新動向だ。 MetaとAlphabetは何年も牛耳ってきたデジタル広告市場での覇権を失った。2社の寡占は、ライバル企業であるAmazonTiktokMicrosoftAppleとの競争が急速に激化していることで打撃を受けている。 市場調査会社のInsider Intelligenceによれば、Facebookの親会社であるMetaと、Googleの持株会社であるAlphabetがアメリカ広告市場の売上全体に占める

    タイラー・コーエン「オンライン広告が2社寡占ってほんと?」
  • アダム・トゥーズ「北京が直面するコロナ対策の悲劇的なジレンマ」(2022年12月2日)

    独裁者が恥をかいたという知らせは一般的には喜ばれるが、それが国家の悲劇や真にグローバルな問題をも招くとしたらどうだろうか。 10月に習近平が彼個人による中国の体制の完全支配を宣言したことは、中国歴史にとって不吉な転換となり、世界中の自由の友たちの間に悲哀をもたらすことになった。2020年以降、習近平の個人的権威を主に支えているのは、「人民至上、生命至上(人民とその生命を何よりも優先する)」を掲げる「コロナウイルスの蔓延を阻止するための全面的な人民戦争」、すなわちゼロコロナ(中:清零、英:Zero Covid)である。 習近平政権の最も誇らしい自慢は、米国が100万人以上の新型コロナウイルスによる死者を記録したのに対し、中国はわずか5000人余りであるという事実である。2020年5月15日から2022年2月15日まで、世界中で毎日何千人もの人々がコロナで亡くなっている中、中国土での死者は

    アダム・トゥーズ「北京が直面するコロナ対策の悲劇的なジレンマ」(2022年12月2日)
  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
  • 「あらゆる社会問題は『住宅問題』に起因する」(2021年9月14日)

    欧米諸国における住宅不足は、多くの人が自分の家を持つことを妨げるだけでなく、格差、気候変動、生産性の低下、肥満、さらには出生率の低下さえも引き起こしている。 欧米諸国が現在直面する問題として、コロナ禍だけでなく、低成長、気候変動、健康被害、金融不安、少子化などが挙げられる。これら長期的なトレンドは、我々が社会に対して感じる諦めにも似た倦怠感の一因となっている。これらの問題は一見関連性が薄いように見えるが、全てを悪化させるある一つの大きな要因がある。それは「住宅不足」だ。つまり、人々の住みたい土地に建設される住宅が少なすぎるのだ。そして住宅不足の解消は、我々が直面する一見すると無関係な様々な問題の解決につながる。 住宅の高額化による “目に見える” 影響 職場、休日の過ごし方、友人や隣人、どのタイミングで何人の子供を持てるか、そして病気になるリスクまで、住む場所というのは人生のほぼ全てに影響

    「あらゆる社会問題は『住宅問題』に起因する」(2021年9月14日)
  • アレックス・タバロック「中流は縮小している――大勢がお金持ちになってきてるから」

    [Alex Tabarrok, “The Middle Class is Shrinking Because Many People are Getting Richer,” Marginal Revolution, June 21, 2016] 新聞の見出しにはなにかと中流階級が縮小しているって言葉が踊るけれど,かなりの程度まで,それは人々が上位中流階級に移動しているからであって,貧しくなっているからじゃあない.ある数字によれば,アメリカでは1980年に 38% だった中流階級は今日だと 32% に減っているけれど,同時に,上位中流階級は1980年の 12% から現在は 30% にまで伸びている. 『ウォールストリートジャーナル』の Josh Zumbrun が(リベラル寄りの)アーバン・インスティテュートからでた新しい研究などについて見事な記事を書いている〔もとの画像はこちら〕: 上位

    アレックス・タバロック「中流は縮小している――大勢がお金持ちになってきてるから」
  • ノア・スミス「権威主義体制の統治はべつに有能じゃないよ」(2022年10月6日)

    [Noah Smith, “Authoritarians are not governing effectively,” Noahpinion, October 6, 2022] 軍が人々の顔を踏み潰す一方で,列車は定刻通りに走っていない 先週は,こんな話をした――自由民主主義を支持する人たちは,自分たちが創り出したいとのぞんでる未来像がどんなものなのか,具体的に世の中に提示する必要がある.ただ,この未来像はまだ浮かび上がってきてないけれど,あちこちの権威主義国家のおかげで,自由民主主義を支持するすてきな論拠が出てきてる.単純に,権威主義国家がびっくりするほど無能をさらしてくれたおかげなんだけどね. 権威主義統治の売りといえば,きまってこれだ.「独裁者・寡頭制支配者・ 絶対的指導者は有能で決然と行動する――民主主義国家がちんたらしてる間に,権威主義国家は行動する.」 こんなフレーズを聞い

    ノア・スミス「権威主義体制の統治はべつに有能じゃないよ」(2022年10月6日)
  • アレックス・タバロック「学資ローン徳政令は,機械工学専攻に課税して演劇専攻に助成することになるよ」(2022年9月19日)

    [Alex Tabarrok, “Taxing Mechanical Engineers and Subsidizing Drama Majors,” Marginal Revolution, September 19, 2022] この前の記事では,バイデン政権の「学資ローン減免」法案が実現すると,学生にはさらに債務を抱え込むインセンティブがはたらき,学校には学費を値上げするインセンティブがはたらくと論じた.さらに,そうやって増えたコストの大半は,所得にもとづく気前のいい返済プランによって,納税者に転化されるとも論じておいた.Brookings の Adam Looney は,学資ローン減免案をさらに深掘りして,ぼくが思った以上にこの法案がひどいという結論を下している.Looeny の主な論点をちょっと抜粋しよう: 近くは2017年時点でも,議会予算局 (CBO) の試算で,学資ローンの

    アレックス・タバロック「学資ローン徳政令は,機械工学専攻に課税して演劇専攻に助成することになるよ」(2022年9月19日)
    yukky2000
    yukky2000 2022/09/27
    演劇専攻に助成したり、人気がありすぎる機械工学専攻に課税したりするのは社会全体のバランスから言って別に悪い話じゃないと思うのだけどそうでもないのかな。
  • ノア・スミス「エリート過剰生産仮説」(2022年8月26日)

    [Noah Smith, “The Elite Overproduction Hypothesis,” Noahpinion, August 26, 2022] 2000年代から2010年代に,アメリカ憤をためた大卒者を輩出しすぎたのかも? “We’re talented and bright/ We’re lonely and uptight/ We’ve found some lovely ways/ To disappoint” — The Weakerthans ♪オレらはまぶしいほど才能にあふれながら / 孤独でピリピリしてる / オレらが見つけた最高の / 絶望の方法 ――The Weakerthans 目を見張ってしまうちょっとしたデータを見てもらおう:アメリカ国内で人文学を専攻してる大学生の割合は,2010年以降に完璧に崩壊してる. @ipeds_nces just r

    ノア・スミス「エリート過剰生産仮説」(2022年8月26日)
    yukky2000
    yukky2000 2022/09/14
    日本だと就職氷河期があったけど、どちらかというとネット右翼が増えた時期だよなぁ。この違いはどこから来るのか。既成社会に対する抗議という点は同じだけど。
  • ノア・スミス「大卒賃金プレミアムはどこから生まれる?: シグナリングなきシグナル」— 経済学101

    [Noah Smith, “Sheepskin effects – signals without signaling,” Noahpinion, December 18, 2017] 教育のシグナリング説をとびきり熱狂的に支持している面々のひとりに,ブライアン・カプランがいる.シグナリング説は彼の新著『反教育論』(The Case Against Education) で重要な役どころを担っている.でも,この説にはいくつもの難点があるとぼくはかねがね考えている.それに,教育問題への応用にも問題は多い.先日,『ブルームバーグ・ビュー』に書いた記事では,ブライアンが『アトランティック』に掲載したエッセイへの反論を述べた.このエッセイは,『反教育論』の一部を抜粋したものだ.さて,ブライアンはぼくの文章に反論している.彼はいくつも面白い論点を立てているけれど,ここでは1つの問題だけをとりあげたい

    ノア・スミス「大卒賃金プレミアムはどこから生まれる?: シグナリングなきシグナル」— 経済学101
  • Doepke et al.「出生率の経済学の新時代」(VoxEU, 2022年6月11日)

    [Matthias Doepke, Anne Hannusch, Fabian Kindermann, Michèle Tertilt, “A new era in the economics of fertility,” VoxEU, June 11, 2022] 要旨 高所得の国々で出生率が低下してきている一方で,女性の労働供給と出生率との関係はさまざまな国々で逆転してきている.今日,働く女性が多い国々ほど,生まれる赤ちゃんは多くなっている.コラムでは,次の点を提案する――出生率の古典的モデルではもはや高所得国における超低出生率を説明されず,そうした国々ではキャリアと家族とを女性が両立しやすいかどうかが出産にかかわる意思決定の主要な原動力となっている.稿では,キャリアと出産の組み合わせを助ける4つの要因を大きく取り上げる:すなわち,家族政策,協力的な父親,〔両立に〕有利な社会規範,

    Doepke et al.「出生率の経済学の新時代」(VoxEU, 2022年6月11日)
  • アダム・トゥーズ「安倍晋三の遺産:イールドカーブ・コントロールと “未亡人製造機 (日本国債空売り)”取引」(2022年7月8日)

    Chartbook #136: The legacy of Shinzō Abe, yield curve control & the “widow-maker” trade. Posted by Adam Tooze, Jul 8 安倍晋三の暗殺事件は、狂信者による一匹狼的な犯行のようだ。しかし状況が、これを単なる偶発的な事件にしていない。 安倍氏は撃たれたとき、現在日で争点となっている彼のレガシー(遺産)を巡る選挙活動の渦中にあった。 安倍氏は、紛うことなきナショナリストであり、歴史曲解主義者だった。一方で、彼は今日、東アジアの外交政策における新しい現実主義を推進したことで高く評価されている。彼は、ロシアによるウクライナ侵略と米中間での緊張の高まりを、自身による戦後タブーを破った新しい日の安全保障政策の正当性の証明とみなしていた。バイデン政権は、カート・キャンベルのような「アジアへ

    アダム・トゥーズ「安倍晋三の遺産:イールドカーブ・コントロールと “未亡人製造機 (日本国債空売り)”取引」(2022年7月8日)
  • ジョセフ・ヒース「資本主義をぶっ壊す! 働いたら負け! 夢を追いかけろ! 損得なんてクソ喰らえ!:『反体制』はカネになる」(2022年7月2日)

    Down with capitalism! For people and companies alike, there’s a new path to profits: Follow your dream, and trash-talk profits As the economy becomes increasingly dematerialized, trust becomes more important to every transaction, and showing passion can be a quick way to profitability By Joseph Heath Special to The Star Sat., July 2, 2022 無知な大学生だった頃の話だ。授業をサボり、学生会館の地下に篭って、学内新聞の編集者として日々過ごしていた。そこで、記事を

    ジョセフ・ヒース「資本主義をぶっ壊す! 働いたら負け! 夢を追いかけろ! 損得なんてクソ喰らえ!:『反体制』はカネになる」(2022年7月2日)