日本の貿易は、80年代から経常収支(注1)の黒字に大きく貢献してきた。この結果、日本のGDPの成長に与える影響力は大きく、80年代、2000年代においては、純輸出(経常黒字)は実質GDPを2%以上も引き上げた。2000年代に入ってからは、海外からの所得(純受取)も実質GDPを2%以上も増加させた。 このように日本経済は、一次産品などの商品市況が高騰しても、純輸出と海外からの所得の拡大に支えられ成長を達成してきた。 しかしながら、グローバル化の進展やリーマンショック、および東日本大震災により、日本の国際収支構造は変化し、貿易黒字は大きく上下している。こうした中で、直近までの経常収支の動きを見ることにより、今後の国際収支構造の方向を考えてみたい。 直接投資収益の増加による所得増が経常黒字を支える リーマンショックから立ち直り、徐々に増加基調にあった日本の貿易黒字は、11年1-3月期には、再び東