東京でひとり暮らしをする谷川俊太郎さんのもとに、熊本からこの対談のためにかけつけた伊藤比呂美さん。3度の結婚と3度の別れを経験したふたりの詩人に、自身の感覚や他者との関わり方を聞いてみると、「人の機嫌は損ねたくない」ということばが返ってきました(構成=田中有 撮影=村山玄子) 【動画】詩人同士の対話「機嫌よく、暮らすヒント」 * * * * * * * ◆まずいものをまずいと思わなくなってる 伊藤 谷川さん、こんにちは! ずっとお会いしたかったぁ! 谷川 比呂美さん、早稲田大学で学生に詩を教えてるんだって? 伊藤 あたし、人の詩なんか興味なかったのに面白いんです。この2年、山のように読んでます。 谷川 偉いねえ。歳をとったら真人間になってきたね。 伊藤 アッハハ。谷川さんていつも変わらず穏やかですよね。 谷川 あのね、80年以上生きてると、だいたい感覚が鈍っていくんですよ。味覚とか、嗅覚と