2022年には大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演、アニメ映画の声優やVaundyのMV出演──。さまざまな分野で挑戦を行う若き歌舞伎役者が大切にしていることとは。 「歌舞伎を嫌いになったり、役者を辞めようと思ったことは一度もありません。そもそも役者としての自分とプライベートの自分に境目がない。歌舞伎だけを切り離すなんて考えたことがない」 八代目市川染五郎は、生まれたときから歌舞伎役者だった。父は松本幸四郎、祖父は松本白鸚。かつてふたりが名乗った名跡「市川染五郎」を12歳で襲名した。世襲の世界で生きていくことに迷いはなかったのかと問うと、落ち着いた口調でこう答えた。 最初は遊びの延長だった。初お目見えは2歳のとき。歌舞伎の舞台や映像を見てマネして遊んでいるうちに4歳で松本金太郎を名乗り、初舞台を踏んだ。 幼稚園の卒園アルバムで、将来の夢は「アイアンマン」と書いた。「歌舞伎役者じゃないの?」と