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ブックマーク / magazine-k.jp (11)

  • 出版業界はブロッキング問題で岐路に立っている

    先月にまきおこった海賊版マンガ・アニメサイトに対する緊急ブロッキングをめぐる議論の推移をみていて、不思議に思ったことがある。展開があまりにも急だったこともあるが、決定までの経緯がクローズドなままなので憶測するしかないことも多く、余計に不明瞭な印象を強くした。なんのことかと言えば、出版業界の対応である。 これまでの経緯 経緯を簡単にふりかえろう。政府の知的財産戦略部・犯罪対策閣僚会議(部長・安倍晋三首相)がインターネット接続業者(ISP)に対して、「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3サイト及びこれらと同一とみられる海賊版サイトへのサイトブロッキング(接続遮断)を「促す」緊急対策を決定したのが4月13日のこと。政府は自主的な対応を「促す」だけで「要請」ではなく、あくまでも法整備までの緊急措置だとしたが、これが波紋を呼んだ。 なぜなら通信事業者によるサイトブロッキングには明確な法

    出版業界はブロッキング問題で岐路に立っている
    yyamaguchi
    yyamaguchi 2018/05/07
    「出版業界は、マンガ雑誌やコミックスを出版していない中小の文芸系・学術系・ビジネス系などの出版社もまじえて、この問題をあらためてもういちど議論すべきではないか」
  • 八戸ブックセンター訪問記

    昨年暮れに青森県八戸市にオープンした八戸ブックセンターのことがずっと気にかかっていた。あまり聞いたことのない「市営の書店」だということ、私の住む東京・下北沢で「屋B&B」を経営している内沼晋太郎さんがそのディレクションを担当していること。そしてなにより、ネット等の記事を読んだだけでは、あまり明瞭なイメージが浮かばないこと。以上が理由である。 これは現地に行ってみるしかないと思っていたところ、私が客員で教えている大正大学の地域構想研究所が発行する「地域人」という雑誌から、ローカルメディアの特集を組むというので声をかけていただいた。誌で「ローカルメディアというフロンティアへ」を連載中の影山裕樹さんや、内沼晋太郎さんとともに座談会に出ることになり、幸いにも、その流れで八戸ブックセンターを訪れることができた。 まもなく刊行される『地域人』の次号に八戸ブックセンターについて寄稿した記事が掲載され

    八戸ブックセンター訪問記
    yyamaguchi
    yyamaguchi 2017/06/01
    「つまり八戸ブックセンターは「書店」であると同時に、本を体験する滞在型施設でもあるのだ」
  • 名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか

    現在、ラノベ=ライトノベルは国内の書籍市場においても大きなシェアを占めており、アニメ化・ゲーム化などのメディアミックスも盛んで、海外のファンからも支持を集めている。そんななかでKADOKAWAが擁する国内最大級のラノベレーベルが「電撃文庫」だ。その編集長を務めていた三木一馬氏がエージェント会社を立ち上げ、4月1日に独立した。その狙いやそこにある思いを独占インタビューで聞いた。 作品に寄り添って「媒体」を編集する 「正直管理職が向いていないなという感覚はずいぶん前からあったのですが(笑)、辞めたいという気持ちからの独立では全くないんです」と三木氏はいう。三木氏の今回の決断に大きな影響を与えた人物が三名いるそうだ。一人は、「マガジン航」の読者であれば注目している人物であろうコルクの佐渡島庸平氏。もう一人は、アニメプロデュース会社のジェンコから独立した、エッグファームの大澤信博氏。そして最後の一

    名物ラノベ編集者・三木一馬氏はなぜ独立したか
  • 京都の「街の本屋」が独立した理由 〜堀部篤史さんに聞く【後編】

    堀部さんは新たに立ち上げる屋に「誠光社」という名をつけた。飾り気のない実直なイメージのネーミングからは幾分、固い印象を受けるが、堀部さんの屋としての矜持を如実に表現している。同社のWEBサイトにもその心中が次のようなステートメントとして記されている。 「システムに無理があるならば、改善し、あらたなルールを提案すればいい。屋の話はもうやめにして、屋をはじめてみよう」 「土地に根付き、お客さまに影響され、店主自身も勉強しながら商品構成が変化し続ける。姿形はこれまでに親しまれてきた街の屋でありながら、経営のあり方はこれまでと一線を画する。そうして出来た店が、これからの当たり前の屋であることを願っています」 「誠光社について」より) 記事の前篇では、左京区の文化コミュニティの中で培われ、恵文社一乗寺店を牽引して、ネット時代の流れの中で逆転の手法で頭角を現した成功例として、堀部さんのこれ

    yyamaguchi
    yyamaguchi 2016/01/18
    「堀部さんが誠光社でやろうとしているのは、規模を縮小することで利益率を高め、薄利多売では得られなかった「価値」を提供しようということだ。」
  • ニューヨーク公共図書館の英断

    ニューヨーク公共図書館のデジタルコレクションに収められている67万点を超えるデジタル画像のうち、パブリック・ドメイン(著作権保護期間切れ)である18万点の高解像度データが、ウェブ経由で簡単にダウンロード&再利用できるようになりました。そのことを伝える今年1月5日付の同図書館のブログ記事には、こうあります。 Today we are proud to announce that out-of-copyright materials in NYPL Digital Collections are now available as high-resolution downloads. No permission required, no hoops to jump through: just go forth and reuse! ニューヨーク公共図書館では以前より、コレクションの低解像度データ

    ニューヨーク公共図書館の英断
    yyamaguchi
    yyamaguchi 2016/01/12
    「今回のニューヨーク公共図書館の決定でもっとも重要なことは、パブリック・ドメインにある公共財を活かすには「利用のためのワークフローの簡便化がもっとも大事である」という判断をした部分にあります。」
  • 東京カフェムーブメントと図書館カフェ

    盛り上がる図書館カフェ 図書館のカフェが注目されている。利用者としての印象もあるが、アカデミック・リソース・ガイドのスタッフとして関わっている公共図書館づくりにおける現場での実感としてより強く感じる。『ライブラリー・リソース・ガイド』12号の特集「カフェ✕図書館」冒頭のエッセイ「図書館コーヒーを飲んでもいいの?」にも書かれているが、図書館のカフェが注目される契機となったのは、やはり武雄市図書館のスターバックスコーヒーだろう[*1]。「いやいや、武雄市図書館の前から図書館にカフェはあったよ」とおっしゃる方もいると思う。それはその通りなのだが、それまで図書館に関心がなかったような人びとにも「スタバのある図書館」として認知されたことは、図書館におけるカフェムーブメントの新たな扉を開く大きな出来事であった。 武雄市図書館の企画段階で市民を対象にしたアンケートを行った時に、今後図書館に増えたらうれ

  • 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな

    5月14日、KADOKAWAとDWANGOが経営統合を発表した。この合同発表会はニコニコ生放送にアーカイブされており、その概要も既報なので割愛するが、日経済新聞が「サブカルコンテンツをクールジャパンとして海外に発信」と報じたことに大きな違和感を覚えた(5月15日付「グーグルに挑む角川ドワンゴ連合 世界制覇の勝算 」)。クールジャパン推進会議の委員にも名を連ねた角川歴彦氏が、メディアに対して「日の丸プラットフォーム」を目指すと語ったことによる連想だと推測するが、正直ひどい誤解だと思う。 もちろん、そういった挑戦も今後取り組まれることの一端にはあるはずだが、今回の統合を「クールジャパンを発信」というキーワードで括ってしまっては質を大きく見誤ることになる。 この経営統合は、スマートフォンの普及に端を発した出版環境の激変に対する、出版「社」としての最適解だったと捉えるべきだ(社に括弧を付けてい

    yyamaguchi
    yyamaguchi 2014/05/18
    「KADOKAWAというコンテンツメーカーが、DWANGOというコンテンツプラットフォームを手に入れるということは、単純に考えれば、コンテンツのデジタル流通網を組み込む=垂直統合を果たす、ということを意味する。」
  • 『はだしのゲン』閉架問題が問いかけること

    終戦記念日を迎えてすぐ、反戦マンガとして知られる『はだしのゲン』の全巻が島根県松江市の小中学校の学校図書館で、昨年12月以来閉架扱いになっていたというニュースが伝えられた。昨年、作者の中沢啓治氏は死去しているが、平和教育の教科書的存在でもあった同書の学校図書館での扱いを巡って、議論が巻き起こっている。 封印された「はだしのゲン」 既報のとおり、一部の「市民」が、『はだしのゲン』は「歴史認識に問題あり」として、同書を学校図書館から撤去するよう、陳情を繰り返していた。いったんは松江市議会でこの陳情は否決されたが、その後、市の教育委員会が「内容をあらためて確認」した結果、「過激なシーン」の存在を問題視して、松江市内の小中学校の学校図書館において全巻を閉架処置としたものだ。 閉架に収められている書目が検索でき、必要に応じリクエストできる公共図書館と異なり、今回のような学校図書館での閉架処置となると

    『はだしのゲン』閉架問題が問いかけること
    yyamaguchi
    yyamaguchi 2013/08/25
    「今回のように図書へのアクセスが一部の恣意や示威で簡単に揺らぐようであれば、そもそもアクセスのあるべき姿を議論する前提も無くなってしまう。この部分の優先順位を取り違えてはいけない。」
  • 図書館のための電子書籍ビジネスモデル

    アメリカ電子書籍が定着し始め売上げも伸びているが、いまだに大きな問題となっているのが、図書館での電子書籍の貸し出しだ。電子書籍は何年経っても劣化せず、基的に1冊のデータでどこからでも何人でもアクセス可能なものなので、伝統的な紙のの貸し出しとどう差別化を計っていくかので図書館側と出版社側のせめぎ合いというか、模索がおこなわれている。 この8月にアメリカ図書館協会(ALA)のデジタル・コンテント&ライブラリーズ・ワーキンググループから提言の形で、図書館と出版の電子書籍における条件を探った複数の電子書籍ビジネス・モデルが発表されたので、今回はそのモデルの紹介をしてみたい。 ※この記事の内容に、アメリカ図書館協会(ALA)のディレクター、キャリー・ラッセル氏へのインタビューをくわえたロングバージョンは、ブックジャム・ブックス編集部編の電子書籍、『ニューヨークの夜と文学ギャングたち』(BinB

  • TEDは電子書籍でもトレンドセッターになるか

    4月にNHKのEテレで「スーパープレゼンテーション」が始まったこともあり、今や日でも広い認知を得つつあるTEDカンファレンスですが、今回はそのTEDによるTED Booksという電子書籍サービスを取り上げます。 その前にTEDについての基的な解説をしておきます。TEDカンファレンスが始まったのは1984年と意外に古く、元々は著名な建築家、グラフィックデザイナーのリチャード・ソール・ワーマンが始めた、自身の人脈中心の文化会議の色彩が強かったようです。 TEDの方向性が変わるのは、コンピュータ雑誌のビジネスで財を成したクリス・アンダーソン(未だに両者を混同する人がいますが、『ロングテール』や『フリー』の著書で知られるWired編集長のクリス・アンダーソンは同名異人です)が設立した非営利財団にTEDの権利が渡ってからです。 TEDカンファレンス家は、参加者から高額な年会費を徴収し(現在は6

    yyamaguchi
    yyamaguchi 2012/07/18
    「TEDの方向性が変わるのは、コンピュータ雑誌のビジネスで財を成したクリス・アンダーソン(…Wired編集長のクリス・アンダーソンは同名異人です)が設立した非営利財団にTEDの権利が渡ってからです。」
  • 本を送りません宣言

    2011年4月18日の「揺れる東京でダーントンのグーグル批判を読む」という記事で、津野海太郎さんが紹介してくれている「saveMLAK」という活動に関わっている岡真と申します。「マガジン航」には、2009年、2010年に何か記事を書かせてもらっています。 「saveMLAK」は、東日大震災を受けて行っている博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の支援活動です。活動については、「saveMLAK」のサイトをご覧いただくとして、一昨日の1月17日に、2011年3月以降の自分たちの経験と見聞に基づいて、「を送りません宣言」というものを出しました。ぜひ、ご一読いただき、ご意見賜れればと思います。 なお、この宣言は便宜上、「saveMLAK」のサーバーで公開していますが、「saveMLAK」という支援者ネットワークの全体の総意に基づいて発表したものではありません。あくまで、末尾に署名している

    本を送りません宣言
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