人は誰しも指導者になる。これは講師やマネジャーに限った話ではない。 組織で働く人であれば、一度は人を育て、チームを育む指導的役割を担う機会が訪れる。 本連載では人の成長に寄与し、豊かな成長環境を築くプロ指導者たちに、中原淳教授がインタビュー。第1回、第2回は数多くの俳優に演技指導を行う劇作家・演出家の鴻上尚史さんにお話を伺った。 [取材・文]=井上 佐保子 [写真]=山下裕之 劇団「第三舞台」での実験的な日々中原一般的に俳優さんへの演技指導というものはどのように行われているものなのでしょうか? 鴻上日本における演技指導というのは少々特殊で、劇団が主にその役割を担ってきました。それぞれの劇団に演出家がいて、その人が「これが演劇だ」と思うやり方を伝えていったのです。一方、欧米は基本的には演劇学校が主体で、様々な演技論を集めて教えています。 中原なるほど。鴻上さんは大学時代に仲間と共に劇団「第三