株式会社味の手帖編集顧問。タベアルキスト。「料理王国」他14媒体で連載中。フレンチから居酒屋まで全国、世界中で年間600食を食べ歩く。2017年7月にRetty・TOP USER PRO就任。 Rettyアカウント 「おい、俺たち冷遇されていないか」 「そうだよ。ロースやヒレばかり使われて」 「牛なら、俺らも使ってくれるんやけど」 「特にとんかつがいけません。見向きもされやしない」 豚のランプやイチボ、豚トロやシキンボウは、長い間こうやって、すねていたに違いない。 とんかつで、ロースやヒレしか使われないのは、多く取れるからであり、安定した供給と一般的に馴染みがあるからである。 しかし、勇敢にもロースやヒレ以外も揚げてみようとする男たちがいた。 その男たちは、とんかつ屋を始めるにあたって、ありとあらゆるとんかつ屋を食べ歩き、豚一頭を買って、試作した。 もちろん最初は、ロースとヒレだけである。