完全失業率によって雇用情勢を判断する場合、不況時に就業意欲を喪失し労働市場から退出する者が発生することで、完全失業率が低下し、雇用情勢の悪化を過小評価することがある。この効果(就業意欲喪失効果)を補正し、完全失業率とは異なる方法で推計した「真の失業率」を最新のデータを加えて更新した。 完全失業率(季節調整値)は4.1%と前月から0.3ポイント上昇しているが、真の失業率は前月に引き続き順調に低下している。報道では、完全失業率が上昇した要因を「景気回復を背景に、新たな職探しや転職に動く人が増えたこと」(日本経済新聞)としているが、これは景気回復期において「就業意欲喪失効果」の逆方向の効果が働いたことを言い表しているものであり、この見方は、今回の真の失業率の動きと整合的である。ただし、経済指標を全体的にみると、これまでのような右肩上がりの景気回復傾向とは異なる微妙な動きがみられることも事実であり