(第2回からつづく) 今月24日に『新しい常用漢字と人名用漢字』が発売されます。出版記念と言っては何ですが、第1章「常用漢字と人名用漢字の歴史」の内容を要約したり、あるいはちょっと脱線してみたりしながら、人名用漢字の源流を全6回で追ってみたいと思います。 戸籍法の全面改正 当用漢字表が内閣告示された頃、司法省民事局では、戸籍法の改正作業がおこなわれていました。それまで家を単位としていた戸籍を、夫婦を基本単位とする戸籍に変える、というのが戸籍法改正の主眼で、日本国憲法の施行に間に合わせるべく全力で作業がおこなわれていました。そんな中、文部省教科書局国語調査室から「氏名等を平易にする法律試案」が持ち込まれたのです。民事局の青木義人は、この時のことを、のちにこう回想しています(『戸籍』昭和57年9月号47頁)。 この案を持ってこられたときには、ぼくも相当消極的だったんです。住所とか人の姓など従来