水俣病の未認定患者を「あたう限り全て救済」するとした水俣病被害者救済法の成立、施行から今月で10年を迎えた。熊本、鹿児島両県で3万6千人余りが救済されたが、居住地や年齢などの線引きで対象から外れるなどした1700人超の訴訟が今も続く。一方で「水俣病問題の最終解決」を掲げた救済法に基づき、原因企業チッソは分社化を実現。子会社の上場、株売却を経て、チッソ本体の清算・消滅も視野に入れるが、見通しは立っていない。 「会社は、ご恩を忘れておりません」。7月初旬、熊本県水俣市の近郊。手土産を携えたチッソ東京本社の幹部が、未認定患者団体の役員に深々と頭を下げた。年に数回あるという定期的な面会。「いまだにむげにできない、ということだろう」と役員は語った。 2009年7月に成立、施行された救済法は、認定患者に「準ずる」人に一時金や療養費を支給するとした上で、財源を賄うためチッソに有利な経営形態への見直しも盛