安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件は、後方から距離を縮める山上徹也容疑者に誰も気付かない「10秒の死角」が命運を決めた。警察庁の検証報告書や目撃者のスマートフォンに残された映像などを基に当時の状況を再現する。 ※このコンテンツはショッキングな内容が含まれます。 7月8日午前11時28分、安倍氏は近鉄大和西大寺駅前の北口でマイクを握った。四方をガードレールに囲まれ、360度開けた交差点内のスペース。ガードレール内にはスーツ姿の警視庁SP(セキュリティーポリス)1人と奈良県警の警察官3人が配置されていた。安倍氏の前方を中心におよそ300人の聴衆が取り囲んだ。 山上容疑者は安倍氏から約15メートル離れた後方の歩道で周辺をうかがっていた。近くには現場指揮を担う県警本部の警備課長がいたが、注意は前方に向けられていた。