「福島サウンドスケープ」の小鳥の森のページ(2011年 5月 1日、音声データあり)福島のリアルを、音で伝えるプロジェクトがある。福島サウンドスケープといい、当地のサウンドスケープ(音風景)がネットにアップされ、音でその実態を知ることができる。(文=美術・文化社会批評 アライ=ヒロユキ) ■ 音が証明する除染の実態 これを聞いてまず分かるのが、除染効果がまばらだという事実だ。2011年5月1日の福島市内新浜公園に子どもたちの声はないが、翌年復活している。 しかし家族連れで賑わった郊外の小鳥の森は、直後はおろか1年後も回復しない。生活の場でなく除染対象に含まれないためだ。2年後もわずかな訪問客があるのみだ。1年後の音風景の、遠くからの右翼街宣車の音は世相を窺わせる。ほかにも、人気の少なくなった野山の鳥や虫たちの音風景が収録されている。 除染の裏事情も知ることができる。線量がいまだ高い地域をよ