科学技術が人間に及ぼしうる危険性や影響は、20世紀初頭からSF作品を中心に提唱されてきましたが、今日のPost-truth時代においては、そうした危機意識も個人のフィルター次第で変わってしまうのではないでしょうか。 ドミニク:現在のアメリカのトランプ政権やイギリスのEU離脱の状況を見ていて、まさにPost-truth情況が露呈している興味深く思えるのは、現在の社会は合理的な議論の可能性の限界に達してしまっている状況だということですね。専門家に委ねた熟議以外のところで、いかに社会合意を形成できるのかという難題が、いまやアメリカのみならず世界中で突きつけられているように思えます。 たとえば、いまのアメリカのリベラル層の一部は、トランプ支持者を代表とする保守層に対して皮肉にも反リベラルな態度を取るようになってしまっている。たとえばLGBTの権利を認めない人が目の前にいた場合、リベラル派が「お前な