黒い視点を持つこと シティバンク銀行は、取引金額に応じて客をランク付けして管理をしていた。0円で口座を開設して、すぐに千万円単位で預金をする黒い経済人たちは、当然、富裕層として丁重に扱われる。本人確認も少なくとも私たち富裕層に限っては、顔写真の付いていない保険証でも問題とされなかった。 開業してすぐに口座を作った私は、7000万円のキャッシュを持って窓口を訪れた。このキャッシュの出どころは、もちろん黒い。9.11アメリカ同時多発テロ事件の影響で、すでに犯罪資金のマネーロンダリングは国際的な課題となっていて、当時、窓口で200万円以上の現金を預ける時には、金融庁への報告義務があった。 だが、私がシティバンク銀行の窓口で「7000万円を口座に入れたい」と告げると、音もなく行員が寄ってきて「こちらへどうぞ」と別の場所に案内されるのだ。 そこにあるのは、すでにガードマンが待機している銀行内にあるA