6億5400万年~6億3500万年前のマリノアン氷期の地球において、最も初期の複雑な生命体が存在できた海洋環境が、これまで考えられていたよりも広範囲に及んでいた可能性のあることが判明した。今回の知見は、仮説上の「スノーボールアース」現象(地球全体が完全に氷に覆われた状態)が発生していた時期において、生命体が存在可能な外洋の条件が中緯度域まで広がっていた可能性を示唆しており、この現象がむしろ「スラッシュボールアース」(地球上に氷が溶けた所もあった状態)に近かったことを暗示している。これにより、ほぼ地球規模で氷点下だった時期においても生物が生存していたとされる。この研究を報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。 複雑な生命体がマリノアン期の「スノーボールアース」現象による氷河作用をどのようにして生き残ったのかという論点を巡って、盛んな議論が続いている。マリノアン