こりま @korimakorima 日本の映画にはアメリカやイギリスの映画にはあまり見られない『枕ショット』(枕詞にちなんだ造語)がある、と批評家ロジャー・イーバートが指摘していた。 短歌として全体の調子を整えるために存在するのが枕詞。「ちはやぶる 神代も聞かず」なら、現代語に訳すとき「ちはやぶる」の部分は訳さない。あくまで「神代」を導き出すためにだけ挿入されている言葉。 小津安二郎の映画ではこの「枕ショット」が頻出する。通過する列車が映っても、「この列車に誰かが乗っていますよ」と示唆してはいない。全体の構図を整わせるために挿入された、ある意味ストーリーとは無関係なシーン。アメリカ映画で走る列車や建築物が映ると「移動中です」「さびれたビルでしょう。景気の悪さを示しています」など被写体に意味があるが、「枕ショット」は短歌でいうところの枕詞なので映画リズムを整えるために映されている。 2025
