最近、内部告発や公益通報が話題になることが増えている。自動車・電機メーカーでの不正の報道が相次ぎ、今年5月には大塚食品では公益通報をしたことに対する報復を受けたとして労働者による訴訟が始まっている。NHK「クローズアップ現代」でも公益通報が特集されたばかりだ。 参考:“守られない通報者” 内部告発を社会の利益に(NHK) 一方で近年、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEには、福祉・公共サービスなどに関わる業界で働く人たちから、内部告発の相談が相次いでいる。 日本の産業構造はこの約20年で大きく変化し、医療・福祉や公共サービスの労働者数は、いまや製造業を超え、合わせて1000万人以上が働くほどになっている。一方でこうした業界は、経営者にとって利益が上がりにくいため、賃金未払いなどの労働基準法違反だけでなく、補助金の受給や職員数の基準、サービスの質などに関する「不正」が起きやすい傾向がある。