デヴィッド・ボウイの遺作『★』は多くの人に喪失感を与えたが、しかし大きな希望を残した作品でもあった。その希望を一つ繋いでみせたのが、サックス奏者のダニー・マッキャスリンによる新しいリーダー作『Beyond Now』だ。『★』で核を担った彼と、そのバンド・メンバーたち――キーボードのジェイソン・リンドナー、ベースのティム・ルフェーブル、ドラムスのマーク・ジュリアナが、ボウイとの録音の記憶を作品として形にしたものである。 現在のNYジャズ・シーンを担う存在であるダニー・マッキャスリンは、朋友とも呼べるサックス・プレイヤー、デヴィッド・ビニーらとの実験的なジャズ・ユニット=ランザンに、マリア・シュナイダーのオーケストラへの参加、ベン・モンダーやアントニオ・サンチェスとのクァルテットで活躍。そして、前述のバンド・メンバーとの『Casting For Gravity』(2012年)や『Fast Fu