56 学術の動向 2017.4 特集 福島原発災害後の環境と地域社会 ―放射線の影響に関する研究を中心に― 1 我々日本人には、忘れっぽい所がある。災害が 起こると、その時はみんなで心配するのだが、時 間の経過と共に昔話のような気になってくる。と ころが、被害にあった当人にとっては、被災前の 状態に戻ったわけではなく、被災状態が現在進行 形で続いている。当事者とその外にいる人々との 間に生まれるこうした意識の乖離が、様々な軋轢 を生みだし、あるいは無理解へと繋がっている気 がしてならない。今月号では、 「福島原発災害後 の環境と地域社会」というテーマで特集を組んで いるが、全ての原稿を読み終わった後の感想は、 まさにそうした点を痛感させるものである。 辻内氏は 「 『過剰な不安』 ではなく 『正当な心配』 」 という表現を使っているが、目に見えない放射線 に曝されている被災者からすれば、
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