人はなぜ、「科学らしいもの」に心ひかれてしまうのか……? 東京大学大学院で地球惑星科学を専攻、大学勤務を経て小説デビューし、「ニセ科学」の持つあやしい魅力と向き合うサスペンス『コンタミ 科学汚染』を上梓した作家・伊与原新氏。同氏が生み出した、ニセ科学に魅せられた科学者・Dr.ピガサスの「ラボ・フェイク」も、いよいよ最終回。ついに米国大統領までがニセ科学をまき散らし、科学とフェイクが揺らぐ時代になった今、私たちは科学とどう向き合っていけばよいのだろう――? (これまでの記事はこちらから) 「地球温暖化」を疑うアメリカ人 〈地球温暖化という概念は、アメリカの製造業から競争力を奪うために、中国によって中国のために作り出されたものだ〉 ネットに書き散らされている安っぽい陰謀論の一つだと思われたかもしれない。だがこれは、ドナルド・トランプによる2012年のツイートだ。アメリカという国は、このような考