『「毒親」の正体 精神科医の診察室から(新潮新書)』(水島広子/新潮社) 毒親に悩む人にとって、親に傷つけられた経験を「自分は悪くない、悪いのは親だった」と認識し直すのは大事なステップといわれる。ともすれば「親が冷たいのは自分がいたらないせい」と自虐的に考えてしまう人が多く、まずは自己肯定感を得ることが毒親からの解放のファーストステップになるからだ。 問題はその先だ。単に毒親を告発して謝罪させたところで事態がすっきり解決するわけではない。精神科医として臨床の現場で多くの毒親事例に向き合ってきた水島広子氏は、著書『「毒親」の正体 精神科医の診察室から(新潮新書)』(新潮社)で「怒りをぶつけられたからといってすぐに謝り反省するような人は、そもそも毒親になっていない」と、毒親を怒って反省させる形の解決は「幻想」と断言する。では、どうしたらいいのだろう。 大切なのは「毒親」はなぜ生まれるのか、その