遠い昔から、京都に暮らす人びとは、豊かな地下水の恵みを受けてきた。山に囲まれた地形と地質のおかげで、地下には琵琶湖ほどの豊富で、良質な水が蓄えられている。しかし、その「おいしくて、美しい」はずの地下水が最近、さまざまな化学物質にさらされ、汚染の危機に直面している。京都の暮らしを支え、文化をはぐくんだ豊かな地下水を、将来も守り続けるために、私たちに求められるのは何だろうか。 ◇いつまでも安全に 模索 京都市伏見区の伏見板橋小敷地内にある「白菊の井戸」には、ペットボトルやタンクを持った住民たちの姿が絶えない。 1989年度卒業生が寄贈した井戸だ。地元でつくる保存会(立原誠一会長)が管理し、メンテナンスは地元の業者が引き受けている。立原会長は「大切な水を、みんなで守り続けようという意識があるからこそ、井戸を維持できる」と話す。井戸端は地域の住民たちの憩いの場でもある。