中世写本では、筆記の節約のためしばしば名詞や動詞の綴りを短くしてしまうことが行われました。混同が起きないよう、「-」や「~」、「o」などをアルファベットの上部や中に書き加えて識別したりしました。略す方法としては (1) 単語の冒頭を残して後を省略する (truncation) 、 (2) 単語の中間を省略する (contraction) 、 (3) 「-」や「~」、「o」を加えて省略されている場所と文字を示す、 (4) 単語の末尾に記号を付けて語尾を省略する、 (5) 単語を別の記号で置き換える等が行なわれました。ヴァリエーションが非常に多く、18世紀の古文書学者J. L. Waltherが略字の辞書を作成して以来、A. Chassant、A. Cappelli、A. Pelzerといった人たちが様々な事例を集めて辞書を作成しています。 インキュナブラは写本をそのまま印刷しようとしたもので