日本の組織に共通の欠陥は、問題の先送りである。その最大の失敗として知られるのが、日米戦争だ。誰もがおかしいと思いながらずるすると泥沼に引きずり込まれ、前例に前例が重なって大きな判断を先送りしているうちに、誰も望まなかった結果になった。 最近では1990年代の不良債権問題でも、90年代前半には10兆円程度だった損害が、先送りしている間にどんどん大きくなり、小泉首相が最終処理したときは100兆円を超えた。 こうした欠陥は今も受け継がれている。その典型が原子力行政である。 なぜ原発が止まっているのか誰も説明できない 九州電力の川内原発(鹿児島県)の運転再開は、予定を大幅に超えて2015年夏にずれこむ見通しになった。原子力規制委員会が安全審査を開始してから、ほぼ2年で2基だ。このペースだと、全国48基の原発の審査がすべて終わるには20年以上かかる。 それまで原発を止め続けると、化石燃料の浪費で最大