その時、わたしは神戸市内にある職場のスタッフルームに立っていました。 プリントアウトした職場の予定表を掲示ボードに貼ろうとするところでした。 不意に異様な音が鳴り響きました。 6月18日7時58分のことでした。 SF映画で聴くようなその機械的な警報音が、地震の接近を知らせるものだということが分かったのは、その数秒後の地震の揺れを感じてからでした。 職場の建物全体が大きく揺れ、わたしは掲示ボードを取り付けている太い柱に手をかけて身体のバランスを保とうとしました。 腰を屈めて机の下に身を隠そうとする人の動きも目に入りました。 スタッフルームに緊張感が走りました。 揺れはすぐに止みましたが、しばらくの間ほとんど誰も動きません。 誰もが余震を警戒していたはずです。 が、大きな揺れはそれきり止みました。 1,2分後、「震源地は大阪、職場の建物内の状況確認をするように」という声があり、何人かがスタッフ