脚本の初心者にとって難しいことのひとつに「ドラマの中の時間の流れを意識する」ということがあります。ドラマは時間の中に表現が存在しています。映画にせよテレビドラマにせよ演劇にせよ、再生または上映、上演され、作品が時間の中に流れることによって表現が成立します。それに対してドラマの設計図である脚本は、文字として存在しています。「何分」という時間の中で表現するドラマが、脚本では原稿「何枚」という別の形態で存在しているのです。プロの脚本家は、そのことを意識することはほとんどありません。自分が書いた脚本が映像化されることを日常的に経験しているので、ほとんど無意識化されているのです。 しかし自分の作品が映像化されることのない脚本家志望者が「ドラマは時間の中にある」ということを捉えるのはなかなか難しいことです。初心者のプロットを読むと、1時間ドラマのつもりなのに短すぎたり、長すぎたりということがよくありま