何年か前になるが、依存性の懸念が少ない期待の睡眠薬が開発された。製薬会社はその新薬を「他の睡眠薬を減らすのに使えるのではないか」と考えた。安全性の高い睡眠薬にスムースに置換できるなら、患者さんや多くのドクターが選んでくれること間違いなし! そこで企画されたのは、すでに睡眠薬を長期服用している患者さんにお願いして一時的に新薬を追加服用してもらい、前から服用している睡眠薬を徐々に減量するという計画だ。首尾良く新薬に置換できれば、その後も長めに服用してもらえるだろうという皮算用があったようだ。 この治験でも、セオリー通りに、新薬もしくは偽薬を追加服用する2つの患者グループに分け、それぞれのグループにおける減薬率(前の睡眠薬を何%減らせたか)を比較するという方法がとられた。製薬会社としては当然、治療効果のある新薬を追加していたグループの方が偽薬よりも減薬率が高いだろうと期待していた。 結果はという
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