田島列島『水は海に向かって流れる』 - 青春ゾンビ

『水は海に向かって流れる』が3巻をもってして、堂々たる完結。2020年を代表する傑作というありきたりな言葉を冒頭に置いておきたい。ときに、今作の血の繋がらない共同体のイメージソースとしてあるのは『めぞん一刻』というよりも、『すいか』ではないだろうか。なにせ、直達の暮らす広い一軒家にはOLと教授と漫画家がいるのだから。そう考えると、言葉の飛距離と会話劇の妙、そして、スローペースな寡作ぶりといい、田島列島は漫画界に現れた木皿泉のようである。 『水は海に向かって流れる』の素晴らしさは、”運命“というような大きな容量の言葉に収まらない感情の機微の丹念な編み込みや、「もっとラノベに出てくる妹にみたいに起こしてくれーっ」とか「何の変哲もないガールズトークですよ」のようなウィットに富んだユーモアを撒き散らすことで、盛大に照れてみせる細部にある。それを承知の上で、物語の構造を分解してみたい。 田島列島とい

[kj-54]

“贈与、交換、交感といった動的な流れこそが、生命や社会を形作っている、という論理で編まれた田島作品”

[osyamannbe]

田島列島は「特に進んで悪事を働くわけではないのに心底軽蔑するに足るクズ男」を描くのがやたら上手い。本当に名作なのでみんなも読んでくださいね。

[brightsoda]

“物語の構造を因数分解” なんで分解でいいのに因数分解って言うのさ　マジで

[Khvost]

悪い意味で「人も水も低きに流れる」という言葉があるが、表題は良い意味で使われてたのが印象的。"みんなシレっと幸せになってるじゃん"

[haru-k]

物語を紐解いてくれる人と同時代を過ごしていることはなんという幸せか。プレゼントを贈りあう遠慮しない仲が作る家族のかたち。