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瓜売り歩く人と馬 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 河内国のトある在に。 田夫がひとりございまして。... こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 河内国のトある在に。 田夫がひとりございまして。 名を「石別(いそわけ)」ト申しましたが。 この男は瓜売りでございます。 育てた瓜をみずから売り歩いている。 その相棒を務めるのが一頭の馬。 牝馬でございますが、働き者で。 もっとも、好きで働いているのかどうかは分かりません。 トいうのも、主人の石別がこれが酷い男でございます。 欲の皮が突っ張ったとは、この者を言うのではないかトいう。 瓜を一つずつ縄でくくって繋ぎまして。 数珠つなぎにしたものをいくつもこしらえる。 それを山のように高々と馬の背に積んで運ばせます。 その重さたるや、馬の蹄が土にめり込んでしまうほどで。 あまりの重さになかなか馬の脚が前へ進みません。 するト、前を行く石別がキッと目を剥いて振り返りまして。 手にした木の細枝を鞭にして、馬の腹を力いっぱい叩きます。 ピシッ、ピシッ
2018/01/17 リンク