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遅れてきた大学生 一度目の上京と二度目の上京の間に、日本社会は大きく変わっていた。 一度目に上京し... 遅れてきた大学生 一度目の上京と二度目の上京の間に、日本社会は大きく変わっていた。 一度目に上京した時の日本は、高度経済成長の真っただ中だった。二度目に上京した1975年は、高度経済成長の終わりがはっきりした年だった。前年の74年に戦後初のマイナス成長を記録したことが、翌75年に発表されたのである。奇跡とも呼ばれた高度経済成長によって、国民の生活は全体に豊かになった。だが、その一方で経済成長という国民共通の目標は失われ、この時期から、豊かさを背景に個人の生き方を優先する価値観が強まっていく。 1975年に大学へ現役で入学したのは、1956(昭和31)年生まれの人々である。この年の大学・短期大学進学率は38.4%で、高度経済成長期に始まった進学率の上昇がピークに達した年でもあった。4割弱の人たちが大学に進学する高学歴社会の誕生である。 ©iStock.com 1950年代後半(昭和30年代前
2021/08/12 リンク