飯舘村の全村避難とがん 中川恵一 - 日本経済新聞

東京電力福島第1原子力発電所の事故から14年目の春です。最近は訪れる機会も少なくなりましたが、数年前までほぼ毎月、福島を訪問してきました。江戸っ子の私が福島にご縁を頂いたきっかけは飯舘村でした。飯舘は自然に恵まれた美しい村で、私が留学していたスイスを思い出させます。年間の平均気温は約10℃、冷涼な気候を利用した高原野菜や花卉（かき）の生産や、黒毛和牛の「飯舘牛」も有名です。事故直後の201

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「仮に放射線によってがんが誘発されたとしても、1センチメートルの大きさに進行するには20年といった年月がかかります。高齢者の避難は健康上のマイナスが大きく、ホームにとどまるのがベストと考えたわけです」