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網野善彦と山本七平|ちくま学芸文庫|與那覇 潤|webちくま
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網野善彦と山本七平|ちくま学芸文庫|與那覇 潤|webちくま
「大きな物語」がいつ終わったのか、と問うとき、国際的には五月革命やプラハの春の1968年、わが国... 「大きな物語」がいつ終わったのか、と問うとき、国際的には五月革命やプラハの春の1968年、わが国では連合赤軍事件の72年を目処とする見方が強いようだ。教条的なマルクス主義が失墜し、一方でそれへの対抗を軸に正統性を獲得してきた反共自由主義の意義も不明瞭になって、世界の全体を意味づけてくれるストーリーが見出せなくなる時代。日本では70年に三島由紀夫が割腹自殺を遂げ、「皇国史観」の物語もまたこのときに終焉を迎えている。 66年に第一作『中世荘園の様相』、74年に初の一般書『蒙古襲来』を世に問うて出立した網野善彦の歴史学を、かような時代における新たな物語の模索として読むことはできないか。その際に意外な補助線となるのが70年、ユダヤ人を装って著した『日本人とユダヤ人』で論壇に登場した山本七平である。当人はおそらく意識すらしなかったろうが、この七つ違いの二人の軌跡には、不思議と好一対になっているところ