『ベッドルームで群論を』 ブライアン・ヘイズ著 : 書評 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）

私たちの日常には数学の材料が溢(あふ)れている。それを突き詰めることによって、新しい数学の分野が生まれたり、他の科学分野に大きな影響を与えたりすることがある。そのような目で数学を見直してみたら、多くの発見があるに違いない。 本書は、数学に関わるさまざまなテーマを取り上げ、社会に生きている数学を論じた愉快なエッセイである。数学愛好者（つまりアマチュア）であるだけに、専門にとらわれずやさしく解説しており、ユーモアもたっぷり盛り込んでいて楽しい。 表題となっている話題は、眠れぬ夜の考え事で、ベッドルームのマットレスを回転させたり裏返したりしたときの、マットレスがとりうる配置の問題である。マットレスの置き換えを繰り返していくと、必ずすべての配置が実現され、最後に元の状態に戻るはずなのだが、そうはならない。さて、なぜだろうか。ここに群論の威力が発揮されるのである。 金持ちはさらに豊かになり、貧乏人は

[ortica]

>2010年10月25日