公開日の最初の回で『傷物語〈III 冷血篇〉』を鑑賞した。『傷物語』3部作の完結編である。超力作だった。どこまでも過激であり、力いっぱいにアバンギャルド。アニメーションとしても魅力があり、登場人物に対して真摯でもある。お色気シーンも力一杯。ギャグも忘れてはいない。過剰な作品だ。カルトという言葉が相応しいのではないか。 監督は尾石達也。『さよなら絶望先生』や『化物語』の頃にもっと彼の個性が色濃く出た作品が観たいと願った。まさにそれが『傷物語』3部作であり、その頂点が『傷物語〈III 冷血篇〉』なのだ。この作品で僕の願いが叶った。制作会社のシャフトとしても到達点のひとつとなった作品であるはずだ。 尾石達也という不世出のクリエイターが、その才能と意欲の全てを叩きつけたフィルムだ。かつての彼は、あふれる情熱を持て余している印象があった。ひょっとしたら、今までのどの作品も不完全燃焼で終わっていたのか