この世界の片隅には、主人公の、自分は昔からぼーっとしていて、というモノローグからはじまる。自分の人生のイニシアチブは親や、国家行政がとるんでしょ、という態度で、序中盤ずっと進む。 それは主人公の立場からは、結婚も親が決めた結婚だから自分が選んだ結婚ではないし、政治も参政権がなくて自分が始めた戦争ではない。 呉の北條家は、あのお母さん、主人公から見て姑、義母が腰を痛めて、労働力が足りなくなった。だからその補填でお嫁さんが必要になって、そこに主人公が呼ばれてきて嫁入りした経緯になる。 ところが、そのすぐあとに、義姉が出戻りで、嫁ぎ先から帰って来る。 そうすると働き手が一人必要な枠が埋まるから、主人公は不要になる。必要とされていた状況が変わり、北條家に居場所があってもいいがなくてもいい、という立場になる。ここがあの物語でひとつポイントになる。 そこで、主人公が義姉に、頭を下げて、あなたのほうが上