改めて、現代のオペラ演出について少し考えをまとめてみた。まだはっきりとした解決を見たわけではないが、とりあえず、私がこれまで漠然と考えていたことを、少し意識的にまとめてみた。なお、いうまでもないことだが、これは「オペラ演出論」というほどのものではない。だから、特に鋭い内容が出てくるわけではない。それに、もちろん、こののち、ほかの方の意見によって考えを変えることも大いにありうる。 私は早稲田大学第一文学部演劇科を卒業したにもかかわらず、実は演劇にはほとんど関心がない。専攻したのは映画だったし、オペラに関してはずっとレコードで聴いて、頭の中で舞台を想像するだけで十分に満足していたので、「芝居」はなければなくてもかまわないものだった。お気づきの方もおられるかもしれないが、このブログにオペラの公演やDVDについて書いても、演出についてはほんの少し触れる程度のことがほとんどだ。まったく触れないことも
