「外部設計」という用語がある。業務システム開発の世界では昔からあって、「ウォーターフォール方式(WF)」で工程を区別するために使われている。「外から見える部分の設計」という意味のexternal designを訳したものと思われるが、これがなかなかのくせ者だ。 建築に喩えることを許してもらえるなら、「外から見える部分」は壁の色だの玄関の形だのといった「見た目」であって、そんなものを高層ビル建築の上流工程で提出しても「これだけでは不十分」とつっかえされるのがオチだ。ユーザから見える「フォーム」や「帳票」のデザインをまとめただけの上流工程成果物が役に立たないのも同様であって、この意味で建築とシステム開発は似ている。 「外部設計」のタイミングで優先的になされるべき仕事は何か。それは「見た目」ではなく「骨格」の構想と決定である。高層ビルの設計で言えば基礎や鉄筋の構造に相当する。これらの多くはユーザ