きょう、急きょ時間をつくっていただいた、取材のような場。 とてもとてもたいせつなお話が聞けたのに、よっぽどあわてていたのだろう。ICレコーダーが回っていなかった、という衝撃の事件が発生した。 帰りのエレベーターで「ひゃあ」と声を上げたぼくは、そのまま編集者に侘びを入れ、喫茶店に直行した。お互いの記憶が新鮮なうちに、その中身を確認しあう作業に入った。さらにはオフィスに戻ったあと、喫茶店でのメモ書きをもとにラフな原稿を書き起こしていった。 出版業界では、取材時に回していたテープを専門の業者さんにお渡しして、「テープ起こし」と呼ばれる素起こしテキストにまとめてもらうことが多い。 けれどもぼくは、時間の許すかぎり、なるべく自分で起こすように心掛けている。起こす時間がなくて業者さんにお願いするときでも、かならず数回はテープを聞き返す。 なぜか。 そこで「なにが語られたか」を知りたければ、テープ起こし