「価格交渉するくらいなら、とりあえず使ってもらう方がいい」 無名のSaaSが“売れるサービス”になった必然と真価

ルネサス エレクトロニクスは、2月19日に、鶴丸哲哉取締役執行役員(58)が社長に昇格する人事を発表した。現社長の赤尾泰氏(58)は取締役に退き、いずれ引責辞任するという。8人から4人に減らした取締役もすべて社内の昇格人事で決定された。 政府系ファンドの産業革新機構とトヨタ自動車や日産自動車などの官民連合が1500億円の投資を完了する9月までの暫定人事と報道されているが、社長と経営陣は社外から連れてくるべきと思っている私は、いくら半年だといってもこの人事には賛同できない。 しかし、ある日立製作所関係者から、「湯之上が言うことは正論だが、今、ルネサスの社長に求められているのは何だ? 技術が分かることか? 市場が分かることか? 経営戦略論に精通していることか? 混乱し、意気消沈しているルネサスに、そんなものは二の次だ。元気があって、大声で吼えることができる奴だろう。だとしたら、鶴丸氏は最適なん
前回の記事「均一性のNECと一点突破の日立」で、NECのDRAMプロセスが「病的なまでの潔癖完璧主義の均一性第一主義」であることを紹介した。 2012年のエルピーダメモリ経営破綻、それに続くルネサス エレクトロニクスの官民連合による買収、ソニー、パナソニック、シャープの大赤字、社長交代、大規模なリストラ。これらの派手なニュースの陰に隠れていたが、最近、NECに関する報道が目につく。 どうやらNECが苦境に陥っているようだ。今回は、まず、NECに関する最近の新聞報道を2つ取り上げる。その上で、かつては多くの世界1位や日本1位の製品を生み出し、日本を代表する総合電機メーカーであるNECに一体が起きているのかを考える。 ガラケーだけになったNEC 「NECスマホ撤退へ、“どこもファミリー”終焉」(日本経済新聞、2013年7月18日) 2001年にNECは(後にガラケーと呼ばれる)携帯電話の国内市
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 資質が高い鈴木寛氏はなぜ落選したか 「民主党」のマイナスのブランド価値 7月21日に行われた参議院選挙で、民主党は当初の予想通りの大敗を喫した。今や、「民主
先日来の、北朝鮮によるミサイル発射を匂わせる一連の恫喝的な意思表示について、私は、まじめに受けとめるべきなのかどうか、判じかねている。 米韓両政府は、事態を受けて、素早い対応を示している。 日本政府も、いくつか対策を講じているように見える。 私は、これらの国々の動きについても、真に受けて良いものかどうか、判断を留保している。 すなわち、米韓にしても、わが国の政府にしても、おそらく半ばほどまでは、「北の脅威」を利用しながら政策を遂行しているのであって、要するに彼らは、ふだんから彼らがアピールしたいと考えていたところものを、こういう機会を通じて、目立つ場所に押し出すことを心がけているはずなのだ。 であるから、北朝鮮をめぐる関係各国の諸対応に関しては、万事冷ややかな目で、いくつかの方向から吟味しながら、総合的に判断しなければならないと考えている。 なので、結論は、ここでは述べない。 というよりも
家電・自動車業界は再び浮上できるのか!? ~『メイドインジャパン驕りの代償』著者:井上久男(フリージャーナリスト) ---『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)が刊行されました。本の中で、パナソニックやシャープといった家電メーカーの大赤字の原因は、経営者の能力不足による「人災」だと書かれています。一方で、これまでの超円高が日本の製造業の競争力の低下の要因であり、経営者を責めるべきではないという論調もありますが、どう思いますか? 私は誰が何と言おうと「人災」だと思います。 パナソニックの場合が象徴的です。プラズマパネルへの過剰投資で失敗したのにそれを糊塗し、方針転換で今度は国内で液晶パネルに投資したら2年も経たずに減損処理を迫られることになりました。約8,000億円という巨費を投じて三洋電機を買収しましたが、そのシナジー効果が出るどころか、買収した事業の業績が悪化し、のれん代の償却を
今回は、「成長と私たちの幸せ」について考えてみようと思う。 「私の部下は半数以上が非正規です。はっきり言って、彼らが今の政策で幸せになれるとは到底思えない。実は私の娘も非正規で働いているんですけど、何かかわいそうで。部下や娘を見ていると、経済成長だとか多様な働き方って考え方は、実に無責任で弱い者イジメに近いものを感じてしまうんです」 安倍晋三政権になってからというもの、毎日のように“景気のいい”ニュースが報じられている。 トヨタ自動車は、5年ぶりに単独営業黒字となり、ネット証券大手のカブドットコム証券では、今年1月の新規口座開設数が昨年12月の2倍近くに急増し、今年に入ってから全営業日で「大入り袋」が支給されている。1日の売り上げが予算の1.5倍を超えると、500円の「大入り袋」が全社員に支給されるという仕組みだそうだ。 さらには、大手コンビニエンスストアチェーンのローソンでは、子育て世代
特許庁と東芝の新システム開発契約打ち切りについて、なぜこの開発プロジェクトが破綻したのかについて私なりの解説をしようとバックグラウンドを調べたところ、調べれば調べるほど、この問題の根底には(1)コスト意識が欠如し自分たちが「公僕」であることを忘れてしまった霞ヶ関官僚、(2)霞ヶ関から流れて来るお金にたかる IT ゼネコン、(3)そのお金の流れに対する影響力を利用して票を稼ぐ政治家、という原子力業界と全く同じような構図があることが明らかになり、ウンザリしてしまった。 破綻の原因は、ソフトウェア・アーキテクチャやプロジェクト・マネージメントにあったのではなく、「競争原理が正しく働かない社会構造」そのものにあるのだ。これではうまく行くはずがないし、たとえうまくいったとしてもやたらと高くつく。 そもそも破格だと言われた99億円という落札価格も、私から見ればどうみても高すぎる。特許庁のシステムであれ
最初に私の問題意識を確認しておこう。私は、日本経済の先行きに大きな懸念を抱いているのだが、そう思う理由の1つは、経済学の常識が必ずしも通用していないことだ。こういう言い方をすると「違う経済学もある」と言われるかもしれないが、以下、「経済学の常識」と言っているのは、「私が考える経済学の常識」という意味である。 一例をあげると、財政赤字の解決のためには、消費税を引き上げ、社会保障費の削減を図るしかない。これは私の考えというよりは、「オーソドックスな経済学の考えから導かれる、ごく常識的な対応」だと思われる。恐らく大部分の経済学者はこの基本方向に大筋としては賛成するだろう。 問題はここからである。私はこのコラムの前に「ワンクラス上の日本経済論」という連載を持っており、この中で上記のような常識的な対応方向を示してきたのだが、私が非常に驚いたのは、日経ビジネスオンライン記事の後に掲載される読者からのコ
日本をけん引してきた大企業が苦しんでいます。製造の現場が海外にシフトし、あらゆる産業がサービス化していく産業転換が進行しているとはいえ、変化に対応する前に、「弱点」が一気に吹き出てきたように見えます。 赤羽雄二(あかばゆうじ) 東京大学工学部を1978年3月に卒業後、小松製作所で建設現場用の超大型ダンプトラックの設計・開発。86年、マッキンゼーに入社、1990年から10年半にわたってフルタイムで韓国企業、特に財閥の経営指導に携わる。2002年1月、ブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。IT・ソーシャルメディア・スマートフォン・クリーンテックなどの分野のベンチャーを支援。そのほか経済産業省「産業競争力と知的財産を考える研究会」委員、総務省「ITベンチャー研究会」委員、総務省「ICTベンチャーの人材確保の在り方に関する研究会」委員などを勤める。現在、1社あたり500万円出資、オフィス・
経営不振に陥っているルネサス エレクトロニクス(注:2010年4月にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが経営統合して誕生)が9月18~26日にかけて、5000人を目標に早期退職希望者を募集した。その結果、初日の18日に目標を上回る五千数百人の応募があったため、初日で応募を締め切ったようだ(10月4日追記:本日の日本経済新聞によると初日応募者は7511人だったとのことである)。 周りの様子を見てから応募しようと思っていた人も多数いたのではないかと思うが、あっという間に早期退職の枠は埋まってしまった。いや、「埋まった」どころではなく、はみ出してしまった。この「はみ出し」が珍奇で恐ろしい問題を生じさせている。 早期退職に際しては、通常の退職金に加えて給与の36カ月分がプレミアとして上乗せされる予定だった。ところが、想定していた枠から「はみ出し」てしまったため、おそらく早期退職金の原資が
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