立川読書倶楽部WEB会報隔月で都内某所にてひっそり営まれる読書会。 毎回、一冊の外国文学が課題図書として選出され、 徹底的に語らうのが我々の流儀(スタイル)。 とても面白く読みました。ですが僕が普段好んで読む作品とは全くタイプを異にするので、あえてキワモノ的な感想文を書きます。特に心に残った三篇を。 【クイックン・ツリーの夜】 燃える木。魔女。ヤギ。「――の夜」というタイトル。西欧の幻魔な夜。極めつけは主人公の名前、マーガレット。英語スペル(margaret)を、独語発音すれば「マルガレーテ」である。ゲーテ『ファウスト』第一部、グレートヒェンの真の名を課せられた女。ここまで揃えば邪推ではなく、胸をはって言い切れる。これはキーガンの書いた『ワルプルギスの夜』である。 細部も酷似している。『ファウスト』ではマルガレーテ(グレートヒェン)がファウストによって孕まされ、男の子を産むが、永遠の愛を誓
ショスタコーヴィチ10番目の交響曲は、1953年、独裁者スターリンが死去した年に、ソヴィエト連邦の「雪どけ」の風潮の中で生み落とされた。彼の15曲ある交響曲の中でもその完成度の高さと内容の深さでは一二を争う出来であり、最高傑作のひとつと言っても過言ではない。 とは言え、「形式主義的」と批判された前作第9番から8年ぶりの挑戦であるこの交響曲について、彼自身は「ただ人間の感情や情熱と言ったものを表現したかったのだ」と語るにとどめている。 しかし、この曲、実を言うと、その裏に一筋縄では行かない不思議な仕掛けと暗号が隠されているのだ。ここではその解読を試みてみよう。 ◆リストの「ファウスト交響曲」との類似性 全4楽章50分という大作であるこの交響曲、初演時から「リストの〈ファウスト交響曲〉に似ている」と指摘されてきた。しかし、そこから先に突っ込んだ解析が及ばなかったのは惜しい。なぜなら、この「ファ
15曲あるショスタコーヴィチの交響曲のうち、傑作とされる作品のひとつである。 自分のドイツ式の綴りのイニシャルから取ったDSCH音型(Dmitrii SCHostakowitch)が重要なモチーフとして使われている。この音型が『ショスタコーヴィチの証言』でスターリンの音楽的肖像などであるとされた第2楽章までは現れず、第3楽章になってから現れ始め、第4楽章に至るとあらゆる場面で用いられることからも、スターリン体制が終焉し解放された自分自身を表現しているのではないかとも言われている。 ピアノ連弾版も存在し、作曲者がミェチスワフ・ヴァインベルクと共に1954年に演奏した自作自演録音が残っている。 1948年のジダーノフ批判により、ショスタコーヴィチは苦境に追い込まれることとなった。その一因には、交響曲第9番を聞いたスターリンが、ベートーヴェンの交響曲第9番のような作品を期待していたが、その期待と
【ブリュッセル=森本学、イスタンブール=佐野彰洋】地中海を渡って欧州を目指す難民や移民への対応を巡り、ギリシャの孤立感が深まってきた。欧州連合(EU)が有効な対策を示せないなか、いらだつ中・東欧やバルカン半島の諸国は入国制限を強化。このためギリシャで立ち往生する難民らが急増している。加盟国間の亀裂拡大に危機感を持つEUは7日にトルコと首脳会議を開き、対岸のギリシャへの難民流入を抑制するため協力の
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