理学部 数理科学科 福井 和彦 教授 真っ直ぐではない直線を考える みなさんも高校までに平面図形や立体図形を学んだと思います。平行線がどんなものかもイメージできるでしょう。平行線は、直線外の1点を通りこの直線に交わらない直線はただ1つある、という文章によって定義づけられますが、実はこの文章(公理)が幾何学の歴史を大きく変えるきっかけになったのです。この公理に対する疑問から、それを否定しても成り立つ非ユークリッド幾何学が発見され、現代数学へとつながっていきます。この数学上の大きな変革について、福井 和彦先生にお話しいただきました。 2000年以上幾何学を支配した『原論』 幾何学の歴史は古代ギリシアまで遡ることができます。この時代に、幾何学に長らく大きな影響力を与えることになる『原論』が、ユークリッド( Euclid、紀元前3世紀? - )によって著されました。 『原論』は、その後2000年以