少しでも法律をかじったことのある人なら、憲法の世界において「表現の自由」(その一態様としての集会の自由、集団行動の自由も含む)がいかに重要視されているか、こんなところであえて説明するまでもなく、容易に知っていることだろう。 そして、法学徒であれば大方、次の瞬間に、 「権力」が「国民」に対して「表現内容に着目した規制」を行おうとする場合、制約を受ける人権の重要性に鑑み、(それが争われた場合には)当該規制に対して厳格な司法審査を行わなければならない。 という“定式”が、脊髄反射的に浮かんでくるに違いない。 だが、そういった古典的な発想だけでは世の中は語れない、そんな現実にあらためて気付かされるのが、これから取り上げる事件である。 最三小判平成19年9月18日(H17(あ)1819号、広島市暴走族追放条例違反被告事件)*1 メディア等でも報道されているとおり、本件は、 「広島市が管理する公共の場