小林美恵子 (早稲田大学) 本書は『漫画に見られる話しことばの研究』という表題を持つ10章から成る書物だが、実際に漫画への論及が始まるのは第5章から、「漫画に見られる話しことば」の具体的な分析は第6章からで、4章まではいわば研究の前提としての著者の立ち位置が語られている。 第1章では序論として「話しことばと「共通語」」「首都圏に住む人々の言語生活と言語意識」「首都圏方言と日本語教育」そして「漫画と首都圏方言」とテーマが提起され、2章以下4章までは、それらの問題について述べていく。すなわちそれは「日本語教育で教えられる日本語とはどのようなものか・どうあるべきか」ということである。 序論で、著者は自身の生育時の言語体験なども語りながら、共通語と近くはあるが別のものとして首都圏の人々が日常生活の中で用いる「首都圏方言」の存在を示唆する。 従来日本語教育では「共通語」が教授されることばのベースにな
「近代武生の父」と呼ばれる三田村甚三郎氏が家族に宛てた手紙が、越前市史編さん委員の調査で廃棄予定の物品の中から発見されたとの記事が5月25日の福井新聞地域版に掲載された。この記事を読んだときは、廃棄寸前によくぞ発見できたとの驚きと、日頃の地道な調査活動のたまものと感心したりもした。 ところで、この三田村甚三郎なる人物は、県議、衆院議員を経て、武生町長を5期務めたほか、福井新聞の創刊者であり、現在の越前市中央図書館の前身である武生町立図書館の設置者で初代館長でもある。また、設置にあたり蔵書2000冊余を寄贈しており、その一部は現在でも中央図書館で貴重資料として保管している。この図書館の設置は大正12(1923)年であるから、再来年には開館100年を迎えることになる。もっとも、それ以前の明治29(1896)年に、武生出身の教育者谷口安定(一学)の遺族が、谷口の蔵書約400冊を武生町に寄贈して、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く