並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 85件

新着順 人気順

以文社の検索結果1 - 40 件 / 85件

  • 教養としての『ダンジョンズアンドドラゴンズ(D&D)』 - シロクマの屑籠

    はじめに ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) 作者:九井 諒子KADOKAWAAmazon アニメ『ダンジョン飯』が人気ですね。 ダンジョンで飯を食うという非常識がグルメにもギャグにもなっていて、いちおうシリアスな話も進行していく『ダンジョン飯』。今日のお題は、そのインスパイア元っぽいRPG『ウィザードリィ』のさらにご先祖様の『ダンジョンズアンドドラゴンズ』(以下『D&D』と表記)です。 今、『D&D』の雰囲気をいちばん簡単・忠実に味わえる作品といえば『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』でしょうか。 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray] クリス・パインAmazon 『アウトローたちの誇り』は、種族も性格も技能も違うキャラクターたちが喧嘩したり協力しながら旅を続ける物語ですが

      教養としての『ダンジョンズアンドドラゴンズ(D&D)』 - シロクマの屑籠
    • 意識が高くなって治療や支援が行き届いた社会だからこそ「なおすべきは、あなただ」と言えてしまわないか? - シロクマの屑籠

      www.kosehazuki.net 昨夜、「「セルフケア」を持てはやすなよ」という文章を見かけたので読んだ。その前にもtwitterで前哨戦のようなフレーズを見かけていたので(参照:これやこれなど)、ああ、そのあたりが意識されるフェーズなんだなと思うことにした。私も前から関心があって、もう少し調べてから言語化したいと思っていた。このセルフケアやアンガーマネジメントの話は、たとえば『チャヴ』でルポルタージュされたイギリスで新自由主義が進んでいった話などとも、自己実現や自己充足といったモチベーションの領域の話とも、自己啓発の領域とも地続きにみえてならないからだ。 チャヴ 弱者を敵視する社会 作者:オーウェン・ジョーンズ,Owen Jones海と月社Amazon魂を統治する 私的な自己の形成 作者:ニコラス・ローズ以文社Amazon日常に侵入する自己啓発 作者:牧野智和勁草書房Amazon こ

        意識が高くなって治療や支援が行き届いた社会だからこそ「なおすべきは、あなただ」と言えてしまわないか? - シロクマの屑籠
      • 日本社会は若者をダンピングして少子化をきわめた、それは世界も同じではなかったか? - シロクマの屑籠

        www.asahi.com 少し前に、2024年の出生数が70万人を割り込むという推計がアナウンスされた。70万という数字にこだわっても仕方がない。男女が出会いにくく、子どもをもうける動機も少なく、子どもを育てるコストやリスクばかり目立つ状況では当然だろう。 少子化は本当に止まらないのだろうか? かりに今とまったく同じ社会状況が持続するなら、少子化はこのままきっちり進行しそうだ。でも、きっとそんなことはない。社会状況も社会規範もなんらか変化するのが常だからだ。 ちょうど昭和100年なので昭和時代まで振り返ってみるだけでも、この100年間に社会状況と社会規範がびっくりするほど変わったと気付く。もちろん出生率もだ。出生率は経済も含めた社会状況、それから社会規範や社会通念によって大きな影響を受ける。挙児の手前である、配偶や恋愛や性愛についてもそうだ。昭和から令和にかけての日本社会は、20世紀後半

          日本社会は若者をダンピングして少子化をきわめた、それは世界も同じではなかったか? - シロクマの屑籠
        • まず読みたい100冊

          I. <まず読みたい図書> 1)全学生向きの図書 著作名 著者・編者名 *シリーズ名な ど 出版社 西暦発行年 現在書店で 入手が可能 か(○または ×) 筑波大学図書館 での所蔵の有無、 ある場合は配架番 号 *その他の情報 紹介コメント(80字以内) 三四郎 夏目漱石 岩波文庫 岩波書店 ◯ 081-I95-G10-6 漱石が明治時代の大学生を描いた名作です。自分と比べて見るのも一 興。 地獄変・偸盗 芥川龍之介 新潮文庫 新潮社 ◯ 無 各作品は図書館所蔵 の他の版で読むこと ができる。 何百もの小説を残した芥川。「羅生門」だけじゃ物足りない。 万葉集と日本人:読み継がれる 千二百年の歴史 小川靖彦 角川選書 KADOKAWA 2014 〇 911.12-O24 古典と呼ばれる作品が現代までどのように読み継がれてきたのか、そして それは書物(モノ)としてどのように伝えられてきたのか。

          • 第1回 言葉はどこからやって来るのか――中動態と与格構文 | 國分功一郎×中島岳志「立ち尽くす思想」 | 國分功一郎 , 中島岳志 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

            著者: 國分功一郎 , 中島岳志 哲学者・國分功一郎さんの『中動態の世界 意志と責任の考古学』がついに文庫化! それを記念して、政治学者・中島岳志さんとの対談をお送りします。 対談は6年前、2019年1月に実施。当時、東京工業大学(現・東京科学大学)の「同僚」で、かつ「同学年」のふたりが、それぞれの著作(『中動態の世界』や『親鸞と日本主義』など)について語り合いました。『中動態の世界』で國分さんが、「いまわれわれは言語と思考の関係を社会や歴史のなかで考えるという、ある意味では当たり前の出発点に立っている」と述べたように、「言葉」についてスタートした対談は、やがて政治や思想といった領域にまで広く深く展開していきます。知性と覚悟にみちあふれた濃厚な議論をお見逃しなく! 【第1回】 言葉はどこからやって来るのか――中動態と与格構文(4月4日配信) 【第2回】 尻の政治――立憲主義と民主主義(4月

              第1回 言葉はどこからやって来るのか――中動態と与格構文 | 國分功一郎×中島岳志「立ち尽くす思想」 | 國分功一郎 , 中島岳志 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
            • 女性の社会進出によって加速するジェンダー格差と企業による搾取 - 八発白中

              コロナ禍に見舞われてから、「エッセンシャルワーク」という単語を目にするようになりました。社会の中で必要不可欠な仕事、医療従事者や宅配業の配達員、スーパーマーケットの店員、ごみ収集員などがそれに当たります。 一方で、2020年7月に日本語訳の「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」 が刊行されるなど、個人的には仕事とは何か、必要か必要じゃないかという視点を持つことが頻繁になりました。 ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。 ――デヴィッド・グレーバー「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」 私は彼の「負債論」に魅了されて以来デヴィッド・グレーバーの軽いファンだったので、彼の

                女性の社会進出によって加速するジェンダー格差と企業による搾取 - 八発白中
              • 国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読めるフランス現代思想|MasakiUeta

                人類学篇が人気だったので、たぶん求められているだろう──いや、作成者自身が求めている──フランス現代思想版をつくりました。例により作成者は専門家ではありません。またおそらく漏れているひともたくさんいます(特に1900年以前に生まれたひとは適当)。なにとぞご了承ください。 2024年6月1日 植田将暉 (6月5日更新) アンソロジーJ.デリダ ほか著 ほか『現代フランス哲学12講』,青土社,1986.10. 〔レヴィ゠ストロース、フーコー、バルトとの対話〕レーモン・ベルール 著 ほか『構造主義との対話』,日本ブリタニカ,1980.2. ジャン=ルイ・ド・ランビュール 編 ほか『作家の仕事部屋』,中央公論社,1979.5. 1900年代以前の生まれガブリエル・タルド(1843–1904)タルド 著 ほか『タルドの社会学原理』,岩波書店,1923. ガブリエル・タルド 著 ほか『模倣の法則』,而

                  国会図書館デジタルコレクション個人送信サービスで読めるフランス現代思想|MasakiUeta
                • 森の民と狩猟生活をともにした人類学者がどうしても食べられなかった「極上の獲物」とは【極限メシ】 - メシ通 | ホットペッパーグルメ

                  あなたがこの記事を読んでいるのは、職場へ向かう混み合った電車内だろうか? それとも運よく座れた帰路の快速急行の中だろうか? テレワークの合間の息抜き中かもしれないし、どこかの飲食店でランチが運ばれてくるまでの暇つぶしかもしれない。 そんな現代社会で当たり前に行っているルーティンや信じて疑わない常識が、1冊の読書体験で覆されるとしたら──。 2018年に出版された『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(奥野克巳著、亜紀書房)はまさにショッキングなドキュメントだ。 www.akishobo.com 何より驚かされるのは、この本に記されたマレーシア・ボルネオ島に住む少数民族「プナン」の文化や習慣、考え方である。 「貸して」と言われモノやお金を貸しても決して返ってこない 「ありがとう」「ごめんさい」に相当する言葉がない 基本、日々反省せずに生きている。 それゆえ

                    森の民と狩猟生活をともにした人類学者がどうしても食べられなかった「極上の獲物」とは【極限メシ】 - メシ通 | ホットペッパーグルメ
                  • 長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす|小山田圭吾は21世紀のカラヴァッジョなのか|片岡大右|コロナの時代の想像力

                    2021年7月15日、ミュージシャンの小山田圭吾氏が「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」開会式の作曲メンバーであることが発表されました。その後、氏の過去のインタビュー記事についてネットで「炎上」が発生。大手紙にも取り上げられ、19日には氏の辞任が報じられることとなります。新型コロナ感染症の流行が拡大する緊急事態宣言下でありながら、各地の街頭やメディアはスポーツの祭典に色塗られ、多くの人が波立つ心ですごした夏。それから数か月を経て、五輪は遠のく過去になりつつあり、氏に関しても五輪をめぐる不適切な出来事のひとつとして曖昧に記憶されようとしています。しかし、燃えひろがった情報の炎の中にいたのは、ひとりのアーティストであり、そして人です。彼はそれほどまでに焼かれる必要があったのでしょうか。 この出来事が、パンデミックのもとで起きた、誤情報を多く含む「インフォデミック」であったことを

                      長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす|小山田圭吾は21世紀のカラヴァッジョなのか|片岡大右|コロナの時代の想像力
                    • あの炎上を改めて考察する新書『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか 現代の災い「インフォデミック」を考える』が気になる

                      daisuke kataoka/片岡大右 @disk_kat 4月刊:グレーバー『民主主義の非西洋起源について』(以文社)/準備中:『加藤周一、ある知性の肖像』(仮題、岩波書店)、ベニシュー『預言者の時代 フランス・ロマン主義2』(共訳、水声社)/スタンダール/金井美恵子/『ゲーム・オブ・スローンズ』 researchmap.jp/disk.kat/ daisuke kataoka/片岡大右 @disk_kat ようやく表紙が公開…「"炎上"を超えて小山田圭吾と出会いなおすために」…2月17日発売…よろしくお願いします⚡⚡⚡ 集英社新書 小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか 現代の災い「インフォデミック」を考える shueisha.co.jp/books/items/co… pic.twitter.com/8xbcWwBfDd 2023-02-03 20:53:23 リンク note

                        あの炎上を改めて考察する新書『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか 現代の災い「インフォデミック」を考える』が気になる
                      • なぜ"暴力反対"は間違っているのか? 思想と歴史に学ぶ「暴力」の必須教養 - 社会 - ニュース

                        「前提にあるのは『どんな人も暴力を発現させる力を持っている』ということです。暴力的な出来事が発生したときには、自分はどんな立場にあるのかを考えなくてはいけません」と語る森 元斎氏 ハラスメントから性加害、紛争まで、「暴力」的な事象が続く昨今。「いかなる暴力も許されない」という言葉もよく聞く。しかし、そんな思考停止の暴力反対論に待ったをかけるのが『死なないための暴力論』だ。 暴力にまみれたこの世界で力強く生き抜くために、暴力とどう向き合えばいいのか。著者の森 元斎(もとなお)氏に話を聞いた。 * * * ――なぜ今、「暴力論」なのでしょうか? 本書執筆のきっかけを教えてください。 森 2022年の安倍晋三暗殺事件がきっかけのひとつです。誰も正攻法では安倍晋三の悪事を断罪できなかったけれど、事件後には統一教会の問題も裏金問題も次々と明るみに出ました。「暴力では何も変わらない」という人もいますが

                          なぜ"暴力反対"は間違っているのか? 思想と歴史に学ぶ「暴力」の必須教養 - 社会 - ニュース
                        • 【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(2)|『ロッキング・オン・ジャパン』はなぜいじめ発言を必要としたのか|片岡大右|コロナの時代の想像力|note

                          新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。(1)につづき(2)を公開します。問題とされた過去の雑誌インタビューは、実際にはどのようなものだったのでしょう。(編集部) *(3)以降は2022年1月に公開します。 ※文中敬称略 1 『ロッキング・オン・ジャパン』1994年1月号――「2ちゃんコピペ」の起源小山田圭吾の学校生活についてなんらかの感想を持ちその感想を公にしている人びとの大多数は、(1)で見た『月刊カドカワ』1991年9月号の記事

                            【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(2)|『ロッキング・オン・ジャパン』はなぜいじめ発言を必要としたのか|片岡大右|コロナの時代の想像力|note
                          • 婚活をしてみたかった話 - 本トのこと。

                            合コンや婚活をしたことがない。したことがない、というのがなんとなく勿体ない気がして「やってみたかったな...」と時々思うことがある。 「やってみたかったのなら、やったらよかったじゃん」というのはあるが、高校時代から恋人がいなかったことがない。 「高校時代から恋人がいなかったことがない」と表現するのは何とも「性悪女」という感じがして気に入っているんだけど、なんのことはない、付き合うと恋人1人あたり6年とか7年とか長い付き合いになるケースが多く、それを高校時代から数回繰り返せば結婚適齢期になっていて、幸か不幸か結婚する機会に恵まれた、というだけの話である。 そういうわけで、合コンや婚活をする機会がなかった。 とはいえ実際やったらやったでただ精神を消耗するだけな気はしている。周りにいる合コンや婚活をしている人々を見ても、楽しいからやっているという感じではないし、同様に消耗してそうな感じもある。

                              婚活をしてみたかった話 - 本トのこと。
                            • 連載・『三体』から見る現代中国の想像力 第一回/『三体』における閉域と文脈主義

                              ※本記事は『エクリヲ vol.11」に掲載されたものです。 連載・『三体』から見る現代中国の想像力 第一回 『三体』における閉域(ヴァーチャル・リアリティ)と文脈(コンテクスト)主義[1] 序 〈三体〉シリーズ[2]はいわば中国SFの起爆剤となった。この作品によって、中国SFにまつわるすべてが変わってしまった。それは今日の中国文化の中心になったとすら言える。 オンラインかオフラインかを問わず、書店はSFの作品に埋め尽くされ、その多くに〈三体〉の著者である劉慈欣(りゅうじきん)の推薦コメントが載っている。IT企業の億万長者たちがこぞって〈三体〉のファンであることを公言し、中国やアメリカの国家指導者が『三体』の本に付箋をびっしりと貼ったりしている。中国の全国人民代表が北朝鮮の核問題を論じる際に〈三体〉を引用している。これらは誇張でもなんでもなく、実際に起きていることである。 中国SFには多様性

                                連載・『三体』から見る現代中国の想像力 第一回/『三体』における閉域と文脈主義
                              • 塚田優|ジョナサン・クレーリー『知覚の宙吊り──注意、スペクタクル、近代文化』(前編) – artscape

                                監訳:岡田温司 翻訳:石谷治寛、大木美智子、橋本梓 発行所:平凡社 発行日:2025/04/04 公式サイト:https://www.heibonsha.co.jp/book/b659318.html 「近代」という時代区分は、もはや過ぎ去ってしまった歴史なのだろうか。たしかにモダニティをめぐって、私たちはそこで起こっている諸感覚や社会の変容について繰り返し言及してきた。しかしそうした人文科学的な知性は、ビッグデータを学習したAIが生成する、お手軽な「正解」にその立場を脅かされてもいる。これが、知の今日的な状況であることは否めない。 しかし、ジョナサン・クレーリーはこのような現状にあっても、近代という問題設定を捨てることはないだろう。インターネットにアップロードされる情報の爆発的な増加は今この瞬間も継続中であり、24時間絶え間なく情報が更新され、市場への誘惑を振りまいている。彼は『24/7

                                • なぜ「なぜホロコーストの犠牲者であるユダヤ人がパレスチナ人を虐殺するのか?」と問うのは偽善なのか?①|日居月諸

                                  イタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンは、一見すると汗牛充棟の感もある第三帝国期の強制収容所に関する研究について、「それらの出来事が産み出された特有の法的‐政治的構造を考察することが端的に怠られていることもしばしばである」と不満を述べつつ、以下のように述べている。 したがって、収容所で犯された残虐行為を前にして立てるべき正しい問いとは、人間に対してこれほど残酷な犯罪を遂行することがいったいどのようにして可能だったのか、という偽善的問いではない。それより真摯で、とりわけさらに有用なのは、人間がこれほど全面的に、何をされようとそれが犯罪として現れることがないほどに(事実、それほどに一切は本当に可能になっていたのだ)自らの権利と特権を奪われることが可能だったのは、どのような法的手続きおよび政治的装置を手段としてのことだったのか、これを注意深く探究することであろう。 ジョルジョ・アガンベン「収容所

                                    なぜ「なぜホロコーストの犠牲者であるユダヤ人がパレスチナ人を虐殺するのか?」と問うのは偽善なのか?①|日居月諸
                                  • 世界の複雑さと向き合うための、シンプルな方法。『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか』著者・片岡大右氏インタビュー |BEST TiMES(ベストタイムズ)

                                    世界の複雑さと向き合うための、シンプルな方法。『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか』著者・片岡大右氏インタビュー 2021年夏に起こった、ミュージシャン・小山田圭吾氏の「いじめ」に関する炎上騒動。日本中が大騒ぎしたこの事件を、デヴィッド・グレーバーの翻訳でも知られる批評家の片岡大右氏が「インフォデミック」という観点から論じた『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか』が集英社新書から発売され、売り上げランキングでも上位に付けるなど話題になっている。 この度本サイトは、著者の片岡氏に単独インタビューを敢行。副題で「現代の病」と銘打れた「インフォデミック」の実態と、SNS時代に自分を見失わないための知恵を伺った。 片岡大右  (かたおか だいすけ):1974年生まれ。批評家。専門は社会思想史・フランス文学。 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。単著に『隠遁者,野生人,蛮人――

                                    • 邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2023年版) - YAMDAS現更新履歴

                                      私的ゴールデンウィーク恒例企画である「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする」を今年もやらせてもらう(過去回は「洋書紹介特集」カテゴリから辿れます)。 ワタシのブログの読者でも誰も気づいていないと思うが、一年前の2022年版をやった後、ワタシは本ブログにひとつの縛りを課してきた。 このブログはだいたいにおいて、(今回のようにひとつのエントリが特に長大な場合をのぞき)一度の更新で5つのエントリを公開するのだが、そのうちの最低ひとつは洋書を紹介するエントリにしてきた……と文章で書くとなんでもなさそうだが、これはなかなかに高いハードルだった。この一年、その縛りをまっとうするために洋書に関するアンテナを張ってきた感じである。 その代わりといってはなんだが、その縛りのおかげで今年の「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする」は、過去エントリを紹介するだけで苦も無く30冊の洋書(

                                        邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2023年版) - YAMDAS現更新履歴
                                      • 【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(4)|「いじめ問題」への囚われのなかで|片岡大右|コロナの時代の想像力|note

                                        新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。そもそも、わたしたちの社会は、「いじめ」という言葉をどのように用いているのでしょう。昨夏の騒動と以降の認識に影響を及ぼしている「先入観」を問い、複雑で多様な現実に向き合うことを呼びかける、(4)を公開します。(編集部) ※文中敬称略 1  「いじめ紀行」を素直に読むことの難しさ本稿(1)で取り上げた、小山田圭吾ソロデビュー前の『月刊カドカワ』(角川書店)1991年9月号の記事からは、知的障害のあ

                                          【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(4)|「いじめ問題」への囚われのなかで|片岡大右|コロナの時代の想像力|note
                                        • 【論考】敵対的インテリジェンス──ヨルダン川西岸地区訪問記/D・グレーバー

                                          訳者解題 本稿は、人類学者・活動家として知られるデヴィッド・グレーバーが、2015年7月30日にInternational Times上に投稿したオンライン記事“Hostile Intelligence: Reflections from a Visit to the West Bank”の全訳である。著者のエスノグラファーとしての洞察力を存分に発揮しながら、パレスチナ自治区の占領実態をその内側から活写したものが本稿であるが、著者自身のSNSや関係者のブログ等の周辺情報によると、Nitasha DhillonとAmin Husain(両名ともに映像作家・活動家・研究者である)を主要メンバーとするMTL Collectiveが敢行したパレスチナ自治区のドキュメンタリー映像(Unsettling)の撮影旅行に、かれらと親交のあったグレーバーが同行したことで執筆に至ったもののようだ。 本稿のHo

                                            【論考】敵対的インテリジェンス──ヨルダン川西岸地区訪問記/D・グレーバー
                                          • 予備知識ゼロから『ジェンダー・トラブル』をとりあえず読めるようになるための読書案内 - 境界線の虹鱒

                                            ジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』は、フェミニズムやクィア・スタディーズのみならず様々な領域に多大な影響を与えた重要な著作です。しかし内容も文章もかなり難解で、おそらく予備知識なしには読めないものだと思います。そのため本記事では、『ジェンダー・トラブル』を読むうえで必要となる予備知識をできるだけ手軽に学べるよう、いくつかの本を紹介していきます*1。 目次 目次 フェミニズムを知る クィア・スタディーズを知る 構造主義・ポスト構造主義哲学に触れる 『ジェンダー・トラブル』以前のフェミニズム理論を確認する ジュディス・バトラーについての解説書 おわりに:『ジェンダー・トラブル』に触発される 忙しい人向けの最短コース(2022年12月9日追記) 注釈 フェミニズムを知る ●清水晶子『フェミニズムってなんですか?』文春新書(2022年)(2022年12月9日追記) フェミニズムの歴史か

                                              予備知識ゼロから『ジェンダー・トラブル』をとりあえず読めるようになるための読書案内 - 境界線の虹鱒
                                            • デデデデデ - 『バービー』レビュー

                                              ●はじめに この映画を観て、しみじみと「フェミニズム映画の意義ってなんだろうか」なんてことを考えてしまった。 大前提として、フェミニズム運動は成功からほど遠いところにあり、世の中には性差別が満ちあふれ、そんな現状なのにアメリカでも日本でも大きなバックラッシュが起きている。 そんな時代にあって、映画業界では次々とフェミニズム映画が製作されており、その中には様々なタイプの作品がある。 大衆的でポップな作品もあれば、評論家を唸らせる深い作品もあり、分かりやすいものもあれば分かりにくい(フェミニズム批評によって価値が掘り起こされるものなども含め)ものもあり、フェミニストの共感を食い物にするフェミニスト・ベイティングもあれば、真摯に作られたものもある。 個人的には評論家を唸らせる深い作品であり、真摯に作られたものであれば、分かりやすいかどうかは関係なく好きである。 それはそれとして。 ベイティングで

                                              • 過去と未来を作り変えられる魔女になってどうする? 占い、時間、クィア、責任『The Cosmic Wheel Sisterhood』 - wezzy|ウェジー

                                                2023.09.15 18:00 過去と未来を作り変えられる魔女になってどうする? 占い、時間、クィア、責任『The Cosmic Wheel Sisterhood』 クィアな過去を考えることは、時に困難を伴う。そこには歴史の断絶があるからだ。 クィアな自分に連なるクィアな誰かを歴史の中に探そうとする時には、文献を見つけることが難しく、またそもそも記録が残されていないことも多い。 大きな歴史だけではない。個人史の中でも、本人にとって過去は存在しない空白であったり、あるいは複数のバリエーションを持っているかもしれない。私にとっても、個人的な過去が空白と空想の合間にあるものに感じられることがある。 しかし、だからといって過去が瑣末なものなのではない。むしろ、過去へのつながりを考えたいからこそ、過去の断絶が際立って現れてくるのだ。クィアな過去を知ろうとするほど、クィアな存在の記録を抹消していく、

                                                  過去と未来を作り変えられる魔女になってどうする? 占い、時間、クィア、責任『The Cosmic Wheel Sisterhood』 - wezzy|ウェジー
                                                • 追悼、デヴィッド・グレーバー。誰もが考えていることを膨らませる力。<酒井隆史×矢部史郎> « ハーバー・ビジネス・オンライン

                                                  David Graeber(Photo by Manuel Vazquez/Contour by Getty Images) 世界的に著名な人類学者であり、活動家でもあったデヴィッド・グレーバーが昨年急逝した。グレーバーの功績とは?日本ではいかに読まれたのか?「紀伊国屋じんぶん大賞2021」第1位も獲得した、グレーバー『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店)の翻訳者である酒井隆史さん(大阪府立大教授)に、矢部史郎さんがお話を伺う。 (構成:福田慶太) 矢部 『負債論』(以文社)や『ブルシット・ジョブ』(岩波書店)などで多くの読者を獲得した、人類学者のデビッド・グレーバーが(昨年の)9月2日に亡くなった。これからグレーバーがもっと有意義な議論を展開していくことが期待されていたときなのに、いまだに信じられないほどで。 酒井さんはグレーバーの翻訳者にして友人でもあって、とく

                                                    追悼、デヴィッド・グレーバー。誰もが考えていることを膨らませる力。<酒井隆史×矢部史郎> « ハーバー・ビジネス・オンライン
                                                  • 教育に期待しすぎる社会――『「生存競争」教育への反抗』(集英社新書)/神代健彦(著者) - SYNODOS

                                                    2020.10.05 教育に期待しすぎる社会――『「生存競争」教育への反抗』(集英社新書) 神代健彦(著者)教育学・教育史 #コンピテンシー#グローバル市場 「教育とは十徳ナイフのようなもの」――わたしの作ったこの比喩、自画自賛と言われればそれまでなのですが、それなりにうまくできているように思うのです。 教育は、個人と社会の現在と未来に対して、さまざまな点で多くの貢献をすることができます。子どもとその保護者の観点からみれば、教育を受けることは、この社会でまっとうな人生を営むために必須のものといえるでしょう。うまくすれば、よりよい学歴を携えて、より有利に社会を生きていくことができるかもしれません。 他方で、社会の側から見ても、教育はなくてはならないものです。一国の経済成長のためには、その国の人々の能力を高めることが欠かせません。また、共同体の秩序を保つために、子どもに社会のルールや規範を教え

                                                      教育に期待しすぎる社会――『「生存競争」教育への反抗』(集英社新書)/神代健彦(著者) - SYNODOS
                                                    • 1) 「クソどうでもいい仕事」が増殖している。 | 『ブルシット・ジョブ』 について学ぼう。 | デヴィッド・グレーバー✕酒井隆史 | ほぼ日刊イトイ新聞

                                                      1965年生まれ。大阪府立大学教授。 専攻は社会思想、都市史。 著書に『通天閣─新・日本資本主義発達史』 『完全版 自由論:現在性の系譜学』、 『暴力の哲学』(ともに河出文庫)など。 デヴィッド・グレーバー氏の著作は 『ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論』 (岩波書店) 『官僚制のユートピア』 『負債論─貨幣と暴力の5000年』(以上、以文社) の翻訳をおこなう(共訳・監訳を含む)。 訳書としてはほかに、マイク・デイヴィス 『スラムの惑星―都市貧困のグローバル化』 (共訳、明石書店)など。 酒井 ありがとうございます。 ── ただ普段からこういった本を 読み慣れているわけではなかったので、 自分が正しく内容を理解できているかどうか、 やや自信がなかったんですね。 また周りに「興味はあるけど読めてない」 という人も何人かいて。 それでこの本について、詳しい方による 初心者向けの解

                                                        1) 「クソどうでもいい仕事」が増殖している。 | 『ブルシット・ジョブ』 について学ぼう。 | デヴィッド・グレーバー✕酒井隆史 | ほぼ日刊イトイ新聞
                                                      • 再魔術化するテクスト──カルトとスピリチュアルの時代の文化批評|文学+WEB版

                                                        第一回 世界は再魔術化しつつあるのか?  倉数茂 0 宗教の凋落? それとも再魔術化? マックス・ウェーバーが、近代を脱魔術化の過程として捉えたことはよく知られています。宗教改革と啓蒙主義以降、それまで世界を覆っていた宗教的力能は徐々に領域を狭めていき、やがて合理主義的思考に取って代わられる。これがウェーバーら、初期社会学の巨人たちの見通しでした。ではウェーバーの時代から約一〇〇年がたった今、世界の脱魔術化は完成したのでしょうか。 世界112の国で1981年から2020年まで行われた大規模なアンケート「世界価値観調査」のデータに基づいて、ロナルド・イングルハートは、宗教心はますます凋落しつつあると結論づけます(注1)。グローバルに見るのなら、時代が下るにつれ、そして若い世代ほど、一人一人の信仰心は低下し、中絶や同性愛を忌むべきものとは考えず、宗教的規範に囚われず自分の人生を選択している。世

                                                          再魔術化するテクスト──カルトとスピリチュアルの時代の文化批評|文学+WEB版
                                                        • 人間狩り・奴隷制・国家なき社会[第1回]/酒井隆史×中村隆之×平田周

                                                          人間狩り・奴隷制・国家なき社会 ──シャマユー、ミシェル、そしてクラストル 酒井隆史 × 中村隆之 × 平田周 第1回 「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」 編集部より 本記事は2021年11月5日、下北沢の書店「本屋B&B」で行われたオンライン・イベント「わたしたちは「人間」であって、人間ではない?」を再構成したものである。 半年以上前に開催された本イベントをここに再録するのは、この5月6日に、この記事内でも大きく取り上げられる思想史家・グレゴワール・シャマユーの『統治不能社会――権威主義的ネオリベラル主義の系譜学 』(信友健志訳、明石書店)という現代政治理論におけるひとつの達成とも言える書物が翻訳・出版されたことを記念する意味も込めている。 再録は全3回に分け、今回は第1回「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」を掲載、以降、第2回「オレ

                                                            人間狩り・奴隷制・国家なき社会[第1回]/酒井隆史×中村隆之×平田周
                                                          • 著者と語り、本に出会う体験を 「代官山人文カフェ」仕掛け人がつくる「つながる場」:代官山蔦屋書店|じんぶん堂

                                                            記事:じんぶん堂企画室 代官山 蔦屋書店の人文書担当・宮台由美子さん 書籍情報はこちら 東急東横線の代官山駅から5分ほど歩くと、旧山手通り沿いに代官山 蔦屋書店が見えてくる。3棟に渡る店舗には、ファッションやカルチャーの雑誌やライフスタイルの実用書のほか、子どもの絵本も豊富に揃う。 なかでも人文書コーナーは、いまが浮かび上がる選書や作家のフェアを精力的に展開する。人文書担当は宮台由美子さん。人気イベントとなった「代官山人文カフェ」を立ち上げ、著者と参加者がともに人生について考え、語り合い、本を手にとるきっかけを生み出してきた。「人文書は、意外と自分に関わることが書いてある」と話す、宮台さんに話を聞いた。 ファッションの街にある書店の棚づくり ファッションの街にある代官山 蔦屋書店は、インテリアや棚づくりもユニークだ。ファッションやライフスタイルの売り場が充実する同店で、人文書コーナーを担当

                                                              著者と語り、本に出会う体験を 「代官山人文カフェ」仕掛け人がつくる「つながる場」:代官山蔦屋書店|じんぶん堂
                                                            • アニメーション的な誤配としての多重見当識― 非対人性愛的な「二次元」へのセクシュアリティに関する理論的考察[PDF]

                                                              対人性愛中心主義、性別二元論、 〈字義どおり化〉という幻想、ポルノグラフィ、パフォーマンス /アニメーション Ⅰ.背景と目的 マンガやアニメなど、いわゆる 「二次元」 の性的表現を愛好する営みについては、こ れまで 「オタク」 や 「マンガ読者」 や 「ファ ン」として研究されてきた。これに対して 近年では、 「二次元の性的表現を愛好しつ つ、生身の人間への性的惹かれを経験しな い」人々や「二次元」キャラクターのみに 性的に惹かれる人々について、セクシュア リティの観点からの議論がなされている。 こうした人々はアセクシュアルの人々と似 た仕方で周縁化される場合があり(松浦 2021a) 、またアセクシュアルをめぐる近年 の問題提起と同じく、セクシュアリティを めぐる従来の認識枠組みを問い直す視座を アニメーション的な誤配としての多重見当識 ― 非対人性愛的な「二次元」へのセクシュアリティに

                                                              • シン・アナキズム――連載「アナキスト思想家列伝」by ディオゲネ子(重田園江)|本がひらく

                                                                デイヴィッド・グレーバーの著作をはじめ、いまあらためて注目されているアナキズム思想。その繊細さと多様性を保持しながら魅力を伝えていく「列伝」形式の新連載です! 序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか [※1] 忘れもしない(忘れてたけど)2020年9月4日、私はアナキストとしての自己覚醒を経験した。それはまるで、城に住んでいたディドロに会いにいく途中[※2]、ヴァンセンヌの小径で「第一論文」(「学問芸術論」)のテーマについて天啓を受け、雷に打たれたように木の根元に倒れ込んだジャン=ジャック・ルソーのごとき経験であった。ちなみにパリ市街からヴァンセンヌ城まで、かなりの距離をルソーが歩いていたのは、馬車代の節約のためだった。ルソーという思想家のエピソードはいつも大真面目に大げさで、こういうところが全く憎めない。アイデアが閃いたからって、いくらなんでも木の裂け目に

                                                                  シン・アナキズム――連載「アナキスト思想家列伝」by ディオゲネ子(重田園江)|本がひらく
                                                                • 【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(3)|「いじめ紀行」の枠組みを解きほぐす|片岡大右|コロナの時代の想像力|note

                                                                  新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。 2021年7月、パンデミック下で、ミュージシャンの小山田圭吾氏をめぐって起きた「インフォデミック」について、片岡大右さんが精緻に分析する全5回の連載。2021年夏から12月にかけて書き下ろされた原稿を、順次掲載しています。2021 年末に公開した(1)(2)につづき、「いじめ」と、その加害/被害について考察する(3)を公開します。(編集部) ※文中敬称略 1 岡崎京子と1990年代のいじめ観『ロッキング・オン・ジャパン』1994年1月号におけるいじめ関連発言の反響は、今回の騒動でさかんに言及されたもうひとつの記事、翌95年夏の『クイック・ジャ

                                                                    【連載】長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(3)|「いじめ紀行」の枠組みを解きほぐす|片岡大右|コロナの時代の想像力|note
                                                                  • 追悼 デヴィッド・グレーバー(酒井隆史) - 岩波書店

                                                                    そこで開かれた諸可能性は、二度と閉じられることはない ――追悼 デヴィッド・グレーバー 酒井隆史 ニューヨーク在住の著述家・翻訳家の友人、高祖岩三郎氏から、ニューヨークにいま、おもしろいヤツがいる、と聞いたのは二〇〇〇年代の半ばをすぎたころだった。街で会ってはしょっちゅう話をしている。人類学者でありながら、オルタグローバリゼーション運動に参加し、ときにスポークスマンとなり、しかもブラック・ブロック(日本ではいまだ、おそるべき「テロリスト」としての表象しかないのではないか)として行動し、なおかつそれを理論化し、大学をクビになった、あるいは、なりそうな人物がいる(実際、二〇〇四年にイェール大学からの契約を「政治的理由」で、打ち切られている)。しかも、その書くものがとんでもなくおもしろい、と。高祖氏がさっそく翻訳してくれた。それが『アナーキスト人類学のための断章』(以文社)である。二〇〇四年公刊

                                                                      追悼 デヴィッド・グレーバー(酒井隆史) - 岩波書店
                                                                    • 日本経済が成長しなくなった、あまりにも「残念」な理由

                                                                      1971年、神奈川県生まれ。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、05年に博士号を取得。2003年、論文 'Theorising Economic Nationalism'(Nations & Nationalism)でNations & Nationalism Essay Prizeを受賞。主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)など。 変異する資本主義 衰退するアメリカ、軍事大国化した中国、すでに始まったハイブリッド戦

                                                                        日本経済が成長しなくなった、あまりにも「残念」な理由
                                                                      • デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』の魅力――仕事とケアの深層 - 渡部朝香|論座アーカイブ

                                                                        デヴィッド・グレーバー著『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳、岩波書店) 思い当たる節がある人は多いに違いない。『負債論――貨幣と暴力の5000年』(以文社)が話題を呼んだデヴィッド・グレーバーの新著、『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳、岩波書店)が、注目されている。 わたしは発行元の出版社に勤めているが、この本が刊行される過程には関わってはおらず、邦訳を心待ちにしていた。読み終えたいま、今年の人文書を代表する一冊になると強く予感している。このような重要な本を世に送り出した同僚への敬意とともに、一読者として本書の魅力の一端を紹介したい。 無意味だが待遇の良い仕事、有用だが低報酬の仕事、そして失業者 20世紀末までに週15時間労働が達成されるだろうと、ケインズは1930年に予言した。それから90

                                                                          デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』の魅力――仕事とケアの深層 - 渡部朝香|論座アーカイブ
                                                                        • 1766夜 『近代の〈物神事実〉崇拝について』 ブリュノ・ラトゥール − 松岡正剛の千夜千冊

                                                                          近代の〈物神事実〉崇拝 について ブリュノ・ラトゥール 以文社 2017 Bruno Latour Faitiche ― Sur le Culte Moderne des Dieix Faitiches Suivi de Iconoclash 2009 [訳]荒金直人 装幀:近藤みどり 本書の原題はフランス語の『フェティシュ(物神)』であるが、邦訳タイトルはすこし長めになって「物神事実」という聞きなれない言葉をつかっている。 これはフランス語で「ファクティシュ」(factish)という造語の日本語訳で、ファクト(fact)とフェティシュ(fetish)が掛け算されて、くっつきあっている。ラトゥールが造語した。或る地域や或るアート行為などで、或る「物的な事実」がフェティシュの対象になるとき、そこにはファクティシュ(物神事実)とでもいうべき〈新たなもの〉や〈変な感じ〉が誕生もしくは派生している

                                                                            1766夜 『近代の〈物神事実〉崇拝について』 ブリュノ・ラトゥール − 松岡正剛の千夜千冊
                                                                          • 多様性と階級をめぐる二重の困難<br/>――HBO版『ウォッチメン』とそのコンテクスト - メディア芸術カレントコンテンツ

                                                                            2019年にケーブル局HBO(Home Box Office)で制作された連続ドラマ『ウォッチメン』は1980年代後半の著名な同名コミックスの後日譚として創作され話題を呼んだ。ロバート・レッドフォードが大統領に就任している架空の2019年米国を舞台に、しかし「ブラック・ライヴズ・マター」をはじめ、きわめて現代的なイシューが幾層にも折り込まれた同作を精細に読み解く。 『Watchmen: An HBO Limited Series』Blu-ray 『ゲーム・オブ・スローンズ』と『ウォッチメン』 2019年、第71回プライムタイム・エミー賞で最多受賞(12部門)に輝いたのは、同年5月に最終第8シーズンの幕を下ろしたHBO作品『ゲーム・オブ・スローンズ』だった。2020年の第72回エミー賞では、やはりHBOのドラマ『ウォッチメン』(2019年10月~12月放送、全9話)が最多受賞(11部門)を果

                                                                              多様性と階級をめぐる二重の困難<br/>――HBO版『ウォッチメン』とそのコンテクスト - メディア芸術カレントコンテンツ
                                                                            • 中国が仕掛ける「ハイブリッド戦争」に、日本が抵抗できない理由

                                                                              1971年生まれ。元・京都大学工学研究科大学院准教授。専門は政治経済思想。96年に東京大学教養学部(国際関係論)を卒業、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。05年に博士号を取得。2003年、論文‘Theorising Economic Nationalism’ (Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『国力論』(以文社)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)など。 変異する資本主義 衰退するアメリカ、軍事大国化した中国、すでに始まったハイブリッド戦争、そしてコロナウイルスのパンデミック。

                                                                                中国が仕掛ける「ハイブリッド戦争」に、日本が抵抗できない理由
                                                                              • ボムとポストイット|巨大都市殺し|高島 鈴|かしわもち 柏書房のwebマガジン

                                                                                1 二〇二一年の暮れのことである、と書き出せば過去らしく見えるので、そのように書く。二〇二一年の暮れのことであった。私は交際相手との破局に直面していた。理由は明快、私は誰とも結婚したくないと考えており、相手は誰かと結婚することを望んでいたからだ。二人のやりたいことは単純に食い違っていた。この齟齬が解決不可能だとお互いが理解したとき、われわれは友人へと戻った。 はっきり言えば悔しかった。この際、元交際相手はむしろ関係がない(私は相手にいっさい悪感情を持っていない)。私の中に湧いていたのは社会制度に対する怒りである。ただ人間同士が個別の紐帯を結び、思い思いに関係していればいいだけなのに、国家は市民に親密圏を申告させ、お墨付きを与える。かくして人間関係には、公的な承認を得たもの/公的な承認を得ないもの、という二項対立が生まれ、前者が後者に優越するかのような言説が罷り通る。社会保障は公的な承認を得

                                                                                  ボムとポストイット|巨大都市殺し|高島 鈴|かしわもち 柏書房のwebマガジン
                                                                                • デヴィッド・グレーバー - Wikipedia

                                                                                  デヴィッド・ロルフ・グレーバー(英: David Rolfe Graeber、1961年2月12日 - 2020年9月2日[1])は、アメリカの人類学者、 アナキスト・アクティヴィスト。 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学の教授を務めた[2] 。妻がおり、グレーバーの死去を伝えたのも妻である[3]。 『負債論──貨幣と暴力の5000年』、『官僚制のユートピア──テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』、『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』などの著作で知られる。 1998年から2007年までイェール大学で人類学の助教および准教授として、 価値の理論や社会理論の研究に従事する。 在職期間中にイェール大学が契約を更新しないと決定した際には、学術界で論争が起こった。2007年から2013年まではロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで社会人類学を教えた。 2001

                                                                                    デヴィッド・グレーバー - Wikipedia